ローンチカスタマー。
計画を立ち上げる(”ローンチする”)後ろ盾となる顧客(”カスタマー”)のことです。
あまり聞いたことありませんが、航空業界では良く使われる言葉です。
航空機産業は、大企業ばかりですが、開発費が巨額であるため、おいそれとは開発できません。
そのため、ローンチカスタマーが居ないと本格的な開発を行いません。
【公開してはいけないもの】
①誰が見ても良いもの(で模倣しやすいもの)。
②特許などを取れそうなもの(特許申請後は公開しても良い)。
【どんなことするの】
早い話が、「企画」を航空会社に持ち込み、商談します。
お客が買いたいと言えば、開発の開始です。
その際、いきなり買いたいというお客さんはなかなかいません。そのため、お客さんの要望を取り込み、企画を変化させます。
ボーイング社が777機を開発する際には、「ワーキング・トゥゲザー」という意見を取り入れる仕組みを採用しました。これにより多くの顧客を取り込むことができました。
一部の会社は、エアバスの購入を考えていましたが、取り下げて、「ワーキング・トゥゲザー」に参加して、777を購入しました。理由は簡単です。自分の意見が反映されるのですから。
お客に相談するというは、非常に強力なお客を取り込む仕掛けです。
【ローンチカスタマーのメリット】
ローンチカスタマーのメリットは、①要望などが聞き入れられ②値段も安く交渉出来でき、③世界で一番初めに利用できるなどです。
【会社のメリット】
①事前に顧客を捕まえられる。
②顧客のニーズに合っているため、外れにくい。
③上手くいけば、お客から開発費をもらえる(開発費に負担の削減)。
④金融機関などから、お金を借りやすい。
【現状の他の業界では?】
近いものはありますが、航空業界のように「企画を見せ」「取り込む」というのは、少ないような気がします。
現在は、ウエブなどを使って、ユーザーの意見・アイデアを取り込むというは、積極的にされていますが、企業側が「企画を見せる」というは少ないと思います。
IT型ベンチャーに置きましては、初期投資が少ない場合は、作って出して、お客の意見を聞きながら、改善するという手法です。これもローンチカスタマー型開発の変種であると考えられます。
【なぜ少ないのか】
多くの企業は企画が漏れて真似されることを恐れているためです。しかし、おおくの場合、デメリットよりメリットの方が多いです。
そもそも、そんなに真似されやすいのであれば、商品を市場に出した後、急速に競争力・魅力を失う商品という訳です。
また、企画を見て、他社が良いと飛びつくようなものなら、一般的に良いと思われるので、わざわざ公開する必要はありません。そこは一律ではなく、理性を働かせての判断です。
【中小企業】
中小企業には開発熱心の方も多いのですが...ちゃんとマーケティングをしてから、開発をしている方は少ないです。
中小企業の場合は、マーケティングに大企業のように大量のお金は費やすことは難しいです。また、開発後の販売チャネルも問題になります。
そのため、成功した中小企業の多くは、お客様の話を聞くことが、マーケティングの中心になります。
また、企画をお客様に相談することも重要です。
(特許に関係することは守秘義務を結ばないと話しては駄目です)
巧くいけば、お客様から開発資金を得ることができます。そんなバカなとお思いでしょうが、多くの成功した企業は、お客様からお金を得て開発しています。
お客様からお金を得て、開発していますので、販売先も、確保できますし、実績も得ることができます。
【適応業界】
製造業ではなく、飲食などサービス業でも適応可能です。
特に、洋服業界なんて、自分が投票した・意見を出した製品が着れるなんていいと思いませんか?