日曜日の日経新聞に書かれていましたが、地方(都市)の元気がないのは、IT産業やファッション・デザインなど知識情報産業の育成に失敗したのが原因のひとつだと考えられます。
IT産業やファッションなど知識情報産業は、完全な一極集中。東京とその近郊に集中している。
日本全体が、脱工業化、知識情報産業化したのではなく、それが出来たのは東京だけと言うのが何とも痛い。これが東京一極集であり、東京とその近郊だけ繁栄となっている。
古いのですが2005年度のIT産業の都道府県比率。たぶん、メーカー内部のプログラマの仕事は入っていません。
都道府県名 | 金額 | 比率 |
東京都 | 90,526 | 62% |
神奈川県 | 13,996 | 10% |
大阪府 | 9,209 | 6% |
愛知県 | 4,714 | 3% |
福岡県 | 2,737 | 2% |
京都府 | 2,336 | 2% |
千葉県 | 2,155 | 1% |
北海道 | 2,081 | 1% |
広島県 | 1,671 | 1% |
兵庫県 | 1,509 | 1% |
全国 | 145,560 |
何と言いますか、東京の圧勝。大阪ですら、6%しかない。
本社や金融会社、研究開発部門が東京に集中していることが最大の原因の様な気がします。
東京は本社、研究開発。地方が工場という分業がそのままIT産業にも出た感じです。
都市の発展は、1つの産業の発展が、次の産業の発展のもとになることが多いのですが、東京はそれなりに連鎖が起きています。
地方は止まってしまったのでしょうか?
【大阪】
良く大阪の衰退を語られる場合、工場三法が語られますが、個人的には本社の流出とIT産業の育成失敗が大きかったような気がします。
脱工業化は時代の流れですので、東京はその流れにうまく乗り、大阪は工場三法を衰退理由にするように、工場中心で意識改革ができなかったということでしょうか?
(もっとも大学の郊外化を後押しした側面もあるので無関係ではない)
東京が失敗したとしても、工場三法や工場を誘致できなかったことを理由にするでしょうか。
むしろ、製造業以外の産業の育成に失敗したのを反省するでしょう。
そもそも、アメリカの場合、製造業で働いている人の半分は研究・開発やマーケティングの人。
工場じゃないんですね。
東京都と大阪では意識・目指すべき地点が違ったような気がします。当然、目指すべき場所が違うのですから、着地点が違って当たり前です。
東京も大阪も臨海都市を計画したのですが、だいぶ結果は違っています(東京もだいぶ苦労しましたが...)。
【大学は最大のサービス産業の1つ】
個人的には、大阪の都心部に大学が少ないのが痛い。
(昔はあったけど郊外に移転したのも多い。工場三法関連で大学が郊外化したんだったかな。東京はズルイ。多摩にキャンパスを作ったけど早稲田や東大は都心)
アメリカでは大学は最大のサービス産業と言われています。
(実際は医療病院ですが・・・)
日本でも似たようなものです。つまり、大阪(市)は最大のサービス産業が少ない。
これでは衰退します。
大学それ自身が巨大な産業ですが、大学から生まれる産業も多い。また、知識や情報の多くは大学や学生・教師から生まれます。
そして、特に重要な資源、人材が集められ、生まれるところでしょうか。
人材が居ないのは、企業が進出しない最大の原因の一つです。
どうにも、大阪の人たちは、大学が嫌いというか、存在価値を認めていないようです。お金を取られるところで、生み出すところじゃないから必要ないと言う感じでしょうか?
大阪府立大学と大阪市立大学が二つあるから二重行政、どっちか潰せと言って、ある程度支持されるあたりが、大学軽視というかんでしょう。
大学がなければ、当然大学院もない。世界的には大学が教育・大学院が研究開発という流れですので、地域の研究開発能力が停滞する危険性があるのですが・・・・まぁ、気にしないのでしょう。
【大学とビジネスの距離】
シリコンバレーのgoogleは、スタンフォード大学の学生。FACEBOOKもハーバードの学生。ITベンチャーと大学の親和性は非常に高い。
大学は、なんやかんや言っても、知識や情報の交差点であり集まるところ。それが都心部にないのが痛い。
関西の有名な大学は、京都市に多く大阪市に少ない。多くは大阪にあっても大阪市にはなく、大阪郊外。
それに対して、東京は、東大・早稲田・慶応・明治・立教・法政と山の線の中かその周辺で分布が大きく異なる。
渋谷のビットバレーが東大の影響を受けていることを考えると、大阪大学の位置は痛い。広島中心部から大学を追いだした広島県並みに痛い。
【若者文化】
都市の成長が早く、早期に都心部の土地がなくなってしまったのが、原因でしょうが、大阪府は全般的に大学生が少ない。
(あっても郊外に移転してしまった)
京都に吸い取られてしまっている。
やっぱり、大学があると若者が多く感じが違う。
ミナミとキタの若者の多さは、そう考えると凄いのですが、都心に大学があったらもっと華やかだったでしょう。
情報発信の量が圧倒的に少ない。
マスコミが東京集中のためだろうか?
それもあるけど、ネットでも存在感が不自然なほどない。
情報を発信するためには、創造しないといけない。
大阪が、若者文化を創造する側ではなく消費・受信する側になってしまったのだろうか。
おそらく以前よりかは落ちたのだろう。
神戸、京都の方がお洒落だと感じられる。
【誰と比較するか】
東京では地域内でも差別化競争が行われている。
大阪と東京では差別化は十分なのだろうか?
大きさや金額だけを勝負していないだろうか?
東京と規模を比べれば、NY、パリ、ロンドン、香港、上海すら小さい。大阪は東京都ではなく、NY、パリ、ロンドン、香港、上海、ソウルを意識し、学び、ライバルにすべきだ。
関西空港が着陸料を下げたことにより、アジアの格安航空が次々と就航し始めている。
東京と比べるのではなく、他の海外の都市と比べ始めた時、大阪は再生するのではないだろうか?