マーケティング 失敗事例 キリンラガー編 その2

 本日の日経の朝刊に、元キリンHD社長の三宅さんの記事が載っていました。
 その記事の中で、「ラガー」について書かれていました。
 
 当時「ラガー」=熱処理ビールと認識されていたので、「生のラガー」になると消費者に混乱が生じるのでは?
 という内容が書かれていました。

 以前、書いた記事とは、内容が異なりますが、営業の人たちも、漠然とした不安を持っていたことが判ります。

【当時の経営者がなぜそんな判断ミスをしたのか?】
 正直言って、明確な証言は知りません。
 しかし当時の業界の認識から、推測はできます。

 当時、ビール会社は、数多くのブランドを出していましたが、売り上げの半分以上、利益の大半は、1つのブランドが稼ぐという典型的な、一本足タイプでした(現在のアサヒも似たようなもんですね)。
 ビール会社は、たびたび脱一本足を目指しましたが、成功した会社は、存在しませんでした。

【固定概念】
 結局これが、1会社1ブランドという固定概念を生みだします。
 キリン自身、生のラガーを出す以前に、数多くの生ビールを出しましたが、アサヒのスーパードライに勝てませんでした。
 この結果、1会社1ブランドという固定概念を強化してしまったみたいです。
 やっぱり自社はラガーブランドしかないと思いこんでしまったみたいです。
 結果、ラガーの生かを踏切、自爆しました。

 ブランドのコンセプトの大幅な変更ですから、成功すれば、名経営者としてもてはやされたでしょうが、結果は失敗に終わりました。

【回避方法】
 加熱処理VS生 という構図に乗ってしまったのが、失敗。
 アサヒは、生・ドライを前面に出して、キリンに挑戦しました。それに対して、キリンは、加熱処理を前面に出し、当初生を否定しました。
 結局、このことが、のちに、キリンが生を出す際の障害になり、一歩足を進めるのを遅らせることとなります。。
 当然、キリンが生を出した際に、「おまえ否定してなかったけ?」となるわけです。当然、消費者、小売、問屋に対しても、信用度を落としてしまいました。

 結局は、消費者の趣向の変化を取りこんだ、マーケティングが出来なかったわけです。
 消費者の趣向が、「生・ドライ」だとしたら、それを否定せず、取り込むことを経営戦略として行うべきでした。
 消費者の趣向は変化します。そのため、同じコンセプトのブランドで長期にわたり利益を出し続けるのは、非常に困難です。
 非常に難しことですが、ブランドの衰退を管理し、新しいブランドを育てることの大切さを教えてくれる事例だと思います。