W杯のウルグアイのハンドに見るルールに対する考え方 〜 ルールを破るのは、悪とは限らない。

 W杯、ウルグアイルイス・スアレス選手が、終了間際のシュートをハンドで、阻止し、結果として、チームを勝利へと導きました。
 http://southafrica2010.yahoo.co.jp/news/ndetail/20100703-00000017-spnavi-socc
 それに対して、賛否両論が。
 否の人は、ルール違反で勝つのはずるい、スポーツマンシップに反すると言うのですが...
 サッカーというスポーツのゲーム性・設計思想を理解していないのではないだろうか?
 サッカーでは、決定的なシーンを作られた場合、ドリブルしている人をファールで阻止するというのが、定番です。つまりこの行為は、その延長です。
 ファールは、ルール違反ですので、FKなどペナルティを取られますが...逆に言うと、FKどまりの場合が多いです(悪質の場合は退場ですが)。
 本当にその行為を阻止したいのであれば、漏れなく退場や相手に1点などが考えられますが、サッカーのルールはそうなっていません。
 ペナルティ覚悟での、ハンドを容認しているかのように、ルールを作っているとも考えられます。
 これは、どういうことなのか?
 サッカーの場合、ルール違反すらも、ゲーム性の中に取り込まれていて、ゲームバランスが設定されている分けです。ルール違反=負けの将棋などとは、設計思想が違いますね。
 そもそも、故意違反に対して、FK、イエローカード、レッドカードと段階がある時点で、違反とゲーム性の間、バランスをとろうと言う考えが見て取れます。
 点を阻止するためのゴール前のハンドは、当然、可能性として考えられます。相手に1点ではなく、退場・PKどまりにしているのは、サッカーのゲーム性とゲームデザインを表していて面白いと思います。
【スポーツのルールは?】
 スポーツのルールは、「ゲームとしての面白さ」「安全性」「ビジネス性」などを考慮してつくられます。
 そのため、法律などとは異なり、ルール違反=悪という前提では作られていません。
 ハンドを禁止しているのは、認めると...別のゲームになる、ゲーム性が損なわれるためです。もっとも、 ペナルティ覚悟での、ハンドを容認しているかのように、ルールを作っているとも考えられます。

追記
 汚いプレーの基準が「ルールベースではない」というのが、特長なのかもしれません。
 ルール違反をしても、汚いプレーとは限らないし、ルールを持っていたとしても、汚いプレーがあるというのが、判り易いでしょうか。
 ルール違反=汚いプレーという発想の人には、理解できないかもしれません。