良い会社とヤル気 〜なぜ働くのか 公務員の賃金が高いといけない理由

マズローの欲求段階説というのがあります。
マズローは、人間の基本的欲求を低次から
1. 生理的欲求(physiological need)
2. 安全の欲求(safety need)
3. 所属と愛の欲求(social need/love and belonging)
4. 承認(尊重)の欲求(esteem)
5. 自己実現の欲求(self actualization)
の5段階に分類した。
 日本の企業や教育現場は、どれを用いて、人々のヤル気を引き出しているのだろうか? まぁ、1〜5ミックスなのでしょうが…
 1と2によるヤル気を中心にしている会社が意外と多い。特に駄目会社。業績の良い会社は、結局3〜5の比率が多いのと対照的です。
 たとえば、坂本浩二先生の「日本でいちばん大切にしたい会社」は、3〜5を使って、人々のヤル気を引き出している会社です。
 一方、派遣会社を使っている会社などは、典型的な1と2ですね。派遣社員は、人件費ではありません。経費です。まぁ、道具の世界ですね。古代、奴隷は「物言う道具」でしたが、先祖がえりといえます。
【今後の産業は?】
 サービス産業の比率が増えていきます。
 サービス業は、人産業です(ITなど抜かして)。顧客も会社ではなく人に付いたりします(美容産業やレストランは典型です)。サービス産業では、3〜5がヤル気の源であることが望ましいです。
 知的産業におきましても、3〜5がヤル気の源であることが望ましいです。1と2では、あまり創造的な作業など期待できません。
【お金は?】
 賃金によるヤル気は、『2』と『3の低いレベルの尊重欲求』です。
 3の低いレベルの尊重欲求とは、他者からの尊敬、地位への渇望、名声、利権、注目などを得ることによって満たすことがでますが、このレベルにとどまり続けることは危険とされています。
 今の日本の政治家・経営者は、このレベルでしょうか。
 それに対して、技術者の行動原理はより高いレベルの尊重欲求です。高いレベルの尊重欲求とは、自己尊重感、技術や能力の習得、自己信頼感、自立性などを得ることで満たされます(日本の技術のレベルの高さと経済・政治の不調を説明できそうな気がして怖いですね)。
 地方公務員や学校の先生などは、有能な人材を高めるの口実のもと、賃金が高いですが。結果、金目当ての人間を集め、ヤル気が「2」と「3の低レベル」に収まっているのが問題ですね。賃金を低くしたほうが、社会貢献など金銭目的ではない人が集まるような気がします。
【人事・学校へ】
 従業員や生徒に対して、自分がなぜ働いているのかを、マズローの分類に合わせて、セルフチェックしてもらってはいかがでしょうか?
 そんな難しいものではありません。単純に1〜5を選択してもらうだけです。派遣の方が居る場合、派遣の方も対象にすると良いです。
 1と2の比率が高い場合、問題があります。その際は、インタビューを行い問題の原因を突き止める必要があります。
 パートさんなどは、権限が無いことに不満を持っている場合があります。自分で出来るのに、わざわざ店長や管理職にやってもらわないと駄目なのは、面倒ですし、3〜5への妨げになります。企業としても、パートで出来ることを、店長・管理職にやらせるのは無駄ですし。