多重請負・ピンハネ構造が日本を衰退させる。

 日本のSirを中心としたIT産業はIT土方と称されるほど多重請負構造です。
 本家、建設業界は相変わらずの多重請負構造です。

 そして、1998年の派遣法(?)改正あたりから、ありとあらゆるところで多重請負構造になってしまいました。

 不思議なことに日本のITベンチャーアメリカのGOOGLEマイクロソフトなどのIT産業は多重請負構造ではありません。
 IBMなどは外注(アウトソーシング)を使いますが、日本ほど多重ではありません。
アメリカも多重請負がありましたが、現在はビジネスモデルが時代遅れ、インドへ流出、SIR自身の衰退などで、多重請負構造は衰退しています)


■なぜ、多重請負構造が日本を衰退させるのか?

 なぜなら、多重請負構造は、
 高コスト・低賃金・低スピード・低品質を両立させる可能性があるためです。
 さらに、創造性を求める仕事にはまったく向きません。


■高コストと低賃金の両立
 高コストなのは、東電の原発が一番イメージしやすいです。
 東電は日当5万円〜10万円払っているのに、現場の日当は1万円台です。

 現場は、5次下請け・6次下請けになり、その間でピンハネされるためです。


■低速と低品質

 階層が増えているため、コミュニケーションのコストが時間的にも金銭的にも増加します。
 その結果、低速化します。

 また、階層が増え、仕事の管理・現場の管理もままならないので、低品質の問題も起きます。

 原発事故や横浜のマンションの基礎の手抜き事件ですね。

 現場の教育もめちゃくちゃなので、事件事故が多発します。


 横浜のマンションの場合、販売・開発者が三井不動産レジデンシャルで、元請け業者の三井住友建設
 杭打ち工事が旭化成建材と言われていますが・・・・


三井不動産レジデンシャル
三井住友建設
日立ハイテク
旭化成建材
→現場監督は派遣社員。 現場の労働者は・・・不明。


 日立ハイテクの存在と現場監督が派遣という点で、どうなっているの?の世界です。


 杭打ちは特殊な機械を使うため、専門化しているので、外注するのは判りますが。
 本来は、三井住友建設が管理・発注するべきなのに、日立ハイテクが間に入っています。
 で、ここが管理していることになっている。変ですね。


 さらに、旭化成建材の現場監督は派遣だそうです。
 いや、管理者くらい自社使えよ。正社員使えよの世界です。


 まともなチェックとコミュニケーションができるわけないですね。とうぜん、品質は・・・お察しくださいの世界です。



■創造性
 さらに、多重請負構造は、創造性を求める仕事にはまったく向きません。
 創造性は、TRY&ERRORの連続なので、多層構造にしてしまうと、スピードが致命的に低下してしまいます。


 そもそも、創造性は個人の個性に依存しまうので、派遣とかには非常に向かない仕事です。
 こ


 アニメ業界が比較的うまく行っているは奇跡ですね。
 あれは一部地域に集中しているので、単純な多重請負構造というよりも分業ですが・・・


■強い企業は多重派遣を嫌がる。
 再度、書きますが
 日本のITベンチャーアメリカのGOOGLEマイクロソフトなどのIT産業は多重請負構造ではありません。

 ようするに、上記の難点を嫌がるためです。



■日本企業はなぜ好む?
 逆になぜ日本の企業は多重請負構造を好むかと言いますと・・・・


①固定費圧縮やアセットライト・資産圧縮
 固定費圧縮やアセットライト・資産圧縮を好むためです。

 アウトソーシングすることにより、固定費が変動費になるんですね。
 そのため、売上が減少しても、大丈夫な体制になる。


 大企業のキャノンは、一時期レンズの設計者が派遣社員ばかりになったそうです。
 正社員は何をしていたかと言いますと、派遣社員の管理。
 ギャグみたいな世界ですね。



②発注側の問題
 日本の発注側は、実のところ仕事の評価能力が余り高くありません。
 じゃあ何が発注の基準になるかと言いますと、大企業だからとか人間関係やら何やらで仕事の発注が決まってしまいます。

 アメリカの場合は、中小企業だろうとなんだろうと、製品がしっかりしていれば良いのですが。
 日本は下町ロケットの世界でして、中小企業だと舐められます。
 そのため、手数料を取られるのを覚悟で名義貸しの大企業をかまさないとなかなか上手く行きません。


 また、出来ない人が出来ると言っても見抜けません。
 大企業なら信じてしまいます。大企業は、とりあえず受注できれば、外注してしまえば良いんです。


 その結果、発注を受ける人と、実際に仕事をするのが別の人になってしまうのです。


 消費者から見た場合、大企業の作ったマンションを買ったはずなのに、現場は名もなき中小企業になる訳です。