G20で、なぜ日本の円安は容認されたのか? 〜貿易収支と原発と円安

 新聞を読んでいますと、黒田総裁が国際人脈を駆使して、円安批判を抑えたということですが・・・・ちょっと違和感を感じますね。
 各国の国益を代表している人たちが、知り合いだからということで、そうそうに折れるとは考えられません。


 考えられる一番単純な原因は、2012年の7兆円の貿易赤字でしょう。


 貿易黒字国が通貨安を行えば、批判されますが、貿易赤字国が通貨安政策をしたとしても、批判されるものではありません。


 韓国は貿易黒字国ですし。
 2012年はイタリアですらユーロ安により貿易黒字国になっています。
 ユーロ安の影響で、日本ではユーロからの輸入も増え。
 日本は、イタリアとの二国間貿易でも赤字になりました。
 フランス、ドイツに対しても赤字です。


 G20のフランス、ドイツ、イタリアにして赤字なんですね。
 対ヨーロッパで黒字傾向でなくなったのは近年の貿易における大きな変化です。


 さらに言いますと、G20参加国の、中国、ロシア、ブラジル、インドネシアサウジアラビア、オーストラリア、南アフリカに対しても赤字です。


 つまり、日本以外の19か国中、10か国に対して赤字。
 残りの国のインド、メキシコ、アルゼンチン、カナダ、トルコ、イギリス、欧州連合などは、日本と貿易上の競争関係にないので、特段、円安でも文句なし。


 フランスやイタリアの高級ファッションやドイツの高級車などは通貨も重要ですが、景気の影響を受けます。そのため、円安で通貨安になっても、景気が良くなれば、輸入は増え彼らにとっては都合が良いんですね。


 それに、噂では、カネ余り状態の日本の金融機関がイタリア国債などを買っているとの説すらある。その結果、利回りは5%以下になっている。
 そのため、いろいろとありがたい状態ともいえる。


 不満を持つのは、韓国と自動車産業保護のアメリカでしょうか。


 そのため、貿易赤字だから円安と容認してと言われば、多くの国は論理的に抵抗手段がない。


 通貨が全面安になったとしてもおかしくない。
 景気良くして輸入増やすからとなれば、それ程文句はない。


 メンバー構成を見れば、そもそも、G20のメンバーは、ほとんどはそんなに不満を持っていない。
 批判の大合唱などは、G20の場では起きようがないのだ。逆に、G20の場では逆に抑えられる。


 むしろ、アメリカとの二国間の方が不満は出やすいだろう。


原発との関係】
 原発がなぜ関係あるかと言いますと、貿易赤字の原因の一つが、原発停止に伴う天然ガスの輸入の増大ですね。
 原発が再稼働して、輸入が減少すれば、ふたたび貿易黒字になるかもしれません。
 そうなると、円安は容認されなくなるかもしれませんね。