福岡では、地下鉄の延伸が決まり、仙台では地下鉄東西線の建設されています。
しかし、1キロ200億円〜300億円の巨額な建設費により、採算が危ぶまれています。
地下だから高いと思いがちですが・・・・
どうも単純にそうとは言えません。
【九州新幹線の建設費】
長さ | 比率 | |
地表・盛土 | 15.0km | 11.8% |
橋梁 | 9.2km | 7.2% |
高架橋 | 15.5km | 12.1% |
トンネル | 87.9km | 68.9% |
合計 | 127.6km | 100% |
出典:http://www.geocities.co.jp/MusicHall/7439/nori.k-shin.html
総延長の実に約70%がトンネルであり、その数50。トンネルが多い山陽新幹線でも、トンネル比率が51%ですので、とってもトンネルが多いことが判ります。
7割地下鉄ですね。
地表・盛土区間はわずかに10%。残りの9割が橋、高架、トンネルなどの工作物です。
総工事費は6400億円。1キロあたり約50億円です。
(工事延長121キロで博多〜新八代間の総事業費は8134億円。1キロ、約67億円)
ネットで、地下鉄の建設費は、1キロ当たり200億円から300億円と出ますが。
ずいぶん数値が違いますね。
1キロ、50億円となりますと、高架よりも安いかもしれません。
新幹線の方が車体を大きいので、トンネルの建設費は在来線よりも高いはずですが、地下鉄建設費よりも、新幹線の方がキロ当たりかなり安い。
新幹線・津軽蓬田トンネルにいたっては、6キロで200億円。1キロ当たり34億円くらい。
http://www.47news.jp/localnews/aomori/2012/10/post_20121023151610.html
【高架が高い原因は?】
高架が高い原因は、土地です。
高架だからと言って、土地がいらない訳ではありません。
高架ですと土地が必要ですので、土地代がかかります。
また、無理やりどいてもらうのは、立ち退き料がかかり、お金も時間もかかりますので、地下なら土地の購入交渉など時間も省けます。
地下ですと、土地代は少なく済みます。
その結果、都心部や下手な住宅街では、高架の方が高い場合すら出てきます。
よくLRTは安い言われますが。
土地買収の手間と時間と費用を考えていないような気がします。
道路の拡張工事なんて、20年、30年かかります。
海外の専用線は、片側3車線を、車2車線、LRT1車線に分けて、スペースを作るところが多いです。
日本は、片側3車線は、あまり多くの無いので、用地買収にとまどりなかなか進まないでしょう。
(片側二車線で専用軌道を作るのは難しいでしょう。併用になると思います。そうなると最高速度はでませんね)
【なぜ、地下鉄は高い】
トンネルの値段は意外にも安いにもかかわず、地下鉄の建設費は多額です。
地下鉄の場合、非常に問題なのが、駅の建設費。
地下鉄の場合、駅が深いとバカみたいに建設費がかかります。
駅一つに、100億円から200億円はかかるのではないでしょうか?
大江戸線の場合、駅が大深度のものが多いですし、不自然な程、大きいのが多いので、膨大な建設費がかかっていると思います。
そのため、リニア地下鉄などでトンネルの断面を小さくして、その部分の建設費を安くしても、たかがしているとなります。
当然、九州新幹線には地下駅はありません。
逆に考えますと、大深度じゃなければ、それ程じゃないはずなのですが。
また、建物が多い都心部を巧みに通って行かなければならないのも原因だと思います。
慎重に慎重に作業を進めないといけませんので、その分時間と手間がかかるのでしょう。
【工法によるコスト削減】
以前は、一回開いて地上から地下へと掘っていく、開工法が1番安いと言う話でしたが、現状では、どうなんでしゅうか?
近年は、都心でも都市型NATMでもって、開かずにトンネルを作る場合があります。
シールド工法やNATMなどの工法ですと、24時間作業することが出来ます。
開口法と違い、水道管やガス、電気など地下の埋設物もいちいち移動しないで済みます。
また、掘る土砂の量も最小限です。
どうも、技術の進歩により、近年は大幅に建設費が下がっているんですね。
【路面電車・LRT地下鉄】
海外では都心では路面電車・LRTが地下によく潜ります。
面白いことに、LRTの方が通常の地下鉄よりも、建設費が安くなる可能性があります。
現状の日本の駅は、たいてい、2階層の構造です。B1が、コンコース・改札で、B2にフォームがあるパターンです。
(料金システムにもよりますが)
LRTの場合、そもそも改札がないので、フォームだけで済みます(もともと規模が小さいのもありますが)。
低床の場合は、車輪分がないので、高さ低くくなりコスト削減にもなります。
上手く行けば、駅の建設費半分です。
海外ですと、線路を徒歩で横断して、反対側のフォームに行くことを許可しているところもあるみたいですね。
ほんと路面電車です。
【地下鉄の建設費は本当はいくらかかるの?】
正直判りませんが・・・
東京で建設された新線を元に1キロ200億円から300億円というのは、辞めた方が良いと思います。
トンネル自身は、車両の長さには影響受けませんが、駅の大きさは影響を受けます。
東京は、車両数が10両以上とフォームが長く、駅が大きくなります。そのため、駅の建設費が高くなります。
トンネルXX億円、駅XX億円。合計XX億円と言う資料があればいいのですが・・・残念ながらすくないですね。
仙台で多少資料が出ていますね。
http://www.city.sendai.jp/kansa/kansa/kekka7_j1407.html
http://www.city.sendai.jp/toshi/touzaisenchousei/nandemo/seibikeikaku.html#kensetuhi
仙台地下鉄東西線は、1km当り190億円、全体で2,735億円ぐらいの建設費と計算しているみたいですね。
日本はデフレですので、1990年代後半と現在では、建設費が値下がりしていもおかしくありません。
技術革新を考えますと、当然値下げです。
ずい道費(トンネル費)は、合計約1230億円。13.9キロですので、1キロ90億円以下でしょうか?
でも、総係費が別ですので、実際は、1キロ100億円くらいなのでしょう。
基本的に、トンネル掘る以外のコストが高いですね。
停車場費283億円、通信線路費75億円、電力線路費88億円、変電所85億円。諸建物費114億円、総係費168億円。
九州新幹線は、総事業費で、1キロにつき67億円。
停車場費283億円は、地下駅ですので判るのですが、他のコストが不明。
札沼線を電化した時は29キロで、通信・架線・変電所込みで47億円程度なので、何にそんなにお金がかかるんでしょうね。
(変電所が消費電力で変わるのはある程度判りますが)
札幌などでは、清田・札幌ドーム方面に地下鉄を伸ばしてほしいという要望があるのですが、1000億円を超える建設が提示され、市民が二の足を踏んでいます。
しかし、トンネルだけなら新幹線ですら、6キロ、200億円ですから、見積もりを見直した方が良いかもしれません。