水っぽいビールが、なぜ売れるのか? 〜美味しいのが売れるとは限らない。本格派の罠

 私自身は、お酒はほとんど飲まないのですが・・・・

 たとえば、バドワイザー
 多くの人が「水っぽい」「薄い」と言います。


 しかし、世界でもトップクラスで売れているビールですね。


 たとえば、スーパードライ
 これも、旨味が足りないとか、コクが足りない、薄いとか、言われます。
 喉越しは良いらしいですが。
 しかし、これも、日本で一番売れているビールですね。


 本格派の人が、あまり好きではないビールが一番売れているビールということです。


 一番、美味しいビールが一番売れるのではないのでしょうか。
 どうにも、違うみたいですね。
 では、安いものでしょうか?
 そうでも、ないみたいです。


 ハンバーガーも、一番売れているハンバーガーが一番おいしいハンバーガーとは限りません。
 マックは手軽さ系のような気がします。


【重要なのはシーン】
 重要なのはシーンです。


 水っぽいビールは、水の代わりに飲んでいるんですね。
(飲んでいる人にその意識はないでしょうが)
 水の代わりに飲んでいるので、
お風呂上りやテレビを見ながら、海辺で、野球観戦しながら飲むなどシーン・機会が多くなります。
 当然、消費量も増えるわけです。


 ビールを飲むシーンを、食事時や居酒屋に限定しますと、思わぬ消費を落としたりします。


 当然のことながら、逆にシーンや用途が限定されますと消費は限定されます。


【ニッチ】
 ニッチを狙うのであれば、それで良いのですが。
 それでは巨大なシェアを得ることは難しくなります。
 もっとも、売上がないかは別問題です。
 もともとが大きい市場の場合、ニッチでも十分市場になります。

 ノンアルコールビールも、現在、売れています。
 これは、運転者、妊婦、お酒を飲めない人など、取りこぼしていたところを取っている感じですね。
 

 朝限定用コーヒーも、完全にニッチですね。
 もっとも、朝にコーヒーを飲む人は多いので、完全なニッチとは言えないのですが。捨てるところを決めて、残りを大きく取りに行ったと考えるべきでしょう。


 水っぽいビールは、実は少数派の本格派を切ることにより、残りを大きく取れたと言えます。


【実は少数派の本格派】
 私自身、不思議なのですが。
 居酒屋に入りますと、皆さん、とりあえずビールと言います。
 まず、銘柄が問題になることはありません。


 日本酒などは、居酒屋でも銘柄にこだわるのに、ビールに関しては、ほとんど拘らないのですね。


 なんというか、ビールは、コーラやオレンジと同じレベルですね。
 意外と拘る本格派はいないのかもしれません。


【上質・本格が悪いのか】
 別に上質・本格が悪いという訳ではありません。
 しかし、自身の商品・サービスが「手軽」なのか、「上質・本格」なのかを明確に分ける必要があります。
(基本的に、上質と手軽を両立は非常に困難です)


 中小企業の場合は、「上質・本格」を選んだ方が良い場合が多いです。
 上質・本格は多くの場合、ニッチ化しますので。
 農作物などは、価格を下げたところで、消費量は増えないので、価格を下げる戦略ではなく。
 質を上げ、コストパフォーマンスを上げていく戦略が、比較的向いています。
(不思議なことに、高級化=価格を上げるだけにしてしまう企業が多い。それだけだと消費者は離れてしまう)

 対して、大衆向けの大量消費を狙う場合は、「手軽」のほうが市場としては大きいと思います。


【プレミアムは?】
 プレミアムは、手軽な上質品でしょうか?
 完全な本格派、上質系というよりも、手軽の少し上という感じですね。