金融政策で、不景気にできる。景気を暴走させることはできる。だけど、不景気を好景気にすることはできない。
簡単に言いますと、「不景気下において金融政策はあまり効かない」みたいです。
注意:現在は公定歩合よりも、金融機関に対する無担保超短期の貸し出しの方が重要です。
公定歩合よりも、「基準割引率および基準貸付利率」でしょうか。基本的には、ゼロ金利にすることも、マイナス金利にすることも可能です。
【金融政策で、不景気にできる】
公定歩合、金利を引き上げることなどにより、お金を借りることを難しくすることにより、可能です。
【景気を暴走させることはできる】
バブルの時のように、資金需要が多い時や、信用過剰状態の時、つまり好景気の時に、低金利政策を行えば、資産インフレなどを引き起こし、景気を暴走させることが可能です。
【不景気をさらに不景気にすることはできる】
公定歩合、金利を引き上げることなどにより、お金を借りることを難しくすることにより、可能です。
景気が後退しているにも関わらず、不景気対応が遅れますと、景気をさらに悪化します。
【だけど、不景気を好景気にすることはできない】
資金需要が少ない時や、信用萎縮状態の時、つまり不景気の時に、低金利政策を行っても、大して資金需要は増えません。
不景気時は、企業自身の資金需要が小さいですし。
信用萎縮時なので、企業の信頼度の低下、銀行の財務体質の悪化により、お金を低金利で貸し出せません。
国債の長期金利や公定歩合程、貸出金利は下がりません。実際の金利は思ったほど下がらないんです。
日銀も、末端の貸し出し業務にはさすがに口を出せません。
つまり、金利政策では、ほとんど景気は良くならない。
現在の日本では、金融政策で、景気が向上すると言う議論があり、日本国内では主流になっていますが、どうなんでしょう。
相変わらずの的外れな、めくらましてきな話なのでしょう。
【結局、中央銀行にできることは?】
こう書きますと、景気の足引っ張りしかできないじゃないの? と感じそうですが。
実際、そんなもんです。
できることは、景気の過熱を抑えることと、景気の足引っ張りをしないことです。
じゃあ、意味ないじゃないかと思われそうですが、意味はあります。
信用過剰状態(バブル)の後に、必ず過剰な信用萎縮が起きます(金融不安)。
これは、通常の不況レベルではなく、経済が麻痺する恐慌です。
(1929年の大恐慌の前は、空前の好景気でしたし、リーマンショック前も、戦後最大の世界規模の好景気でした。)
恐慌を抑える方法は、一つだけです。
信用過剰状態を出来る限り抑え、過剰な信用萎縮が起きます(金融不安)を無くすことです。
極端な好景気を作らないことにより、極端な不景気を作らないようにしているのです。
【インフレターゲット】
日銀は、景気を抑えることにより、インフレを抑えることはできます。
また、暴走させたり、通貨の信用を低下させることにより、ハイパワーインフレを起こすことは可能です。
しかし、不景気を好景気にできないように、デフレを適度なインフレにすることは、非常に困難です。
海外では、デフレが問題になることはまずありません。
そのため、海外のインフレターゲットは、過剰なインフレを抑えるための目安にするためのインフレターゲットです。
前提が、日本とは全然逆ですね。
前提をちゃんと理解せずに、病気が違うのに、同じ処方箋が可能であると考えるのが、どうにも近頃の日本の悪い癖ですね。
PS
マイナス金利にはどうするの?
1億円貸すけど、返すのは9999万円で良いよとなれば、マイナス金利です。
そうなってくると、店舗を開けて、預金を集める意味はないですね。