「脱原発・原発をやめれば電気代が上がる」理由を少し細かく考えてみる。
日本の資料はないので、とりあえず海外の資料。
Advance Nuclearが原発のことです。
青色の「capital cost」は資本コスト。配当や金利、元本の返済などが含まれます。
設備投資に対する元本と利子の返済と考えていいです。
O&Mとは、「operation and maintenance」、運用コストとメンテナンスのことです。
赤っぽいのが、「Fixed O&M」です。Fixedとは固定的なという意味です。
動かしていても、動かしていなくてもかかる費用ということです。
対して、緑色の「variable O&M」は、変動する運用・メンテナンスコストという意味です。
動かしたらかかるお金ですね。
つまり、青色+赤色は、固定費で、動かしていても、止めていてもかかるお金。
緑色が変動費で、動かすとかかるお金。
原発の費用の8割くらいが、固定費であることがわかる。
つまり、動かそうが動こうが、膨大な費用を経費として計上しているのだ。
対して、「natural gas 〜cycle」や「natural gas 〜turbine」(natural gasは天然ガスのことでして、LPGもこの親戚です。)、天然ガスによる火力発電が、緑色が多いことがわかります。
コストの大半が燃料代ということです。
【電力費用】
■原発停止した場合
②電力費用=従来火力+その他+原子力×0.8+新規追加火力
となります。
どう考えても、
②電力費用 > ①電力費用 な訳です。
非常にざっくり計算をしています。
火力と原子力の比率を50:50.発電コストを同じにした場合。
■原発停止しない場合
①電力費用=従来火力+原子力=50+50=100
■原発停止した場合
②電力費用=従来火力+原子力×0.8+新規追加火力=50+50×0.8+50=140
この計算だと、4割上がります。
家庭が買う費用は、送電コストが入るため、発電コストより高いです。
逆に考えますと、送電コストは原発火力関係ないので、家庭の値上げりは4割かになるはずです。
現実よりも、遥かに高依存度の世界を想定しても、4割くらいしか上がらないのだ。
電力料金が二倍になると言うのは、火力のコスト増を相当にしていると考えられます。
という訳で、原発依存の場合を見てみましょう。
【2030年度】
http://www.jiji.com/jc/v?p=ve_soc_jishin-higashinihon20120509j-06-w400
脱原発ですと、40%〜100%値上がりするとしている。
原発25%依存でも、39%〜62%上昇する。
原発35%依存でも、30%〜62%上昇するとしている。
脱原発した場合と、そうでない場合の比率は、10%〜25%(200/162)ぐらいだろう。
【稼働期間が延びると利益が激増する】
初期コストの塊なので、40年稼働するか、60年稼働するかで電力会社の利益は大きく異なります。
40年で減価償却すれば、5割以上を占める青の部分がなくなるので、その部分がまるまる利益の増加となります。
通常は、33年ぐらいで減価償却するので、7年は丸儲けになるはずです。
福島原発は、1971年稼働で、期間40年になっていました。
減価償却を終えていて、結構丸儲けになっていたはずです。
老朽化しているので、安全対策に金かけろと言いたいのですが、後の祭りですね。
一方、廃炉にした場合は、莫大な費用がかかるわけですから、電力会社としては、廃炉を避けて、少しでも稼働させたいわけです。
【原発は麻薬みたいなものです】
一度手を出すと、簡単には辞められない麻薬みたいなものです。
【電気代は2倍になるのか?】
原子力の費用も、火力の費用も実はそんなに、変わらない。
撤去費用を含めたら、恐らく原子力の方が明確に高い。
基本的に、原子炉にも寿命があるので、膨大な廃炉コストは原発を稼働しようがしまいがかかるのだ。
原発を廃したら、電気代が2倍になります理論は、結局膨大にかかる廃炉コストをどの時代に払うかを微妙に変えただけのような気がする。