太陽光発電の破綻とドイツの保守的脱原発 〜固定価格買取制度

 固定価格買取制度の購入価格が20円台と大幅に低下します。


 ドイツ、スペインでは、固定価格買取制度が破たんしたと言われています。
 もっとも、それは原発推進派の記事でして、実際のところどうなんでしょうか?


【ドイツでも固定価格買取制度は問題があった】
 のですが・・・・だからと言って、太陽光発電の導入が止まったわけではありません。
 今も毎年増えています
 なぜでしょうか?


【海外の発電コスト】


 個人的には、30円台の買取制度は、あまりにも高すぎるかなという気がしていました。


 アメリカの発電コストは、2013年末で、平均11.2セント/kWh。

 http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2002H_Q4A220C1000000/


 1ドル120円として、だいたい13.4円/kWhでしょうか。
 アメリカの南部は、日照量が多いところが多いので、発電コストも低くなります。


 対して、人件費も高く、物価も高く、日本よりも日照量が少ないドイツの発電コストは、どのくらいでしょうか?
 どうやら、2013年末で、大型発電所で、0.08〜0.12ユーロという感じです。
 1ユーロ150円として、12円〜18円でしょうか。

http://en.wikipedia.org/wiki/Solar_power_in_Germany

 ドイツで見た場合、石炭発電よりかは大幅に高いけど、天然ガス発電よりも少し高い程度という感じです。
 そのため、毎年太陽光発電が導入されているわけです。


 日本の30円台は、どう考えても高すぎです。
 発電業者は暴利を得ることになります。
 利回り10%以上を主張している業者が居ますが、完全に暴利状態です。

 20円台の前半になるか、後半になるかは不明ですが、
 価格の低下は、むしろ正常化です。 


 ドイツでも、固定価格買取制度の価格は、見直されています。
 だって、毎年太陽光発電のコストは低下しているわけですから。


 むしろ、数量規制や税的優遇廃止の方が問題として深刻です。



【ドイツ=脱原発?】
 ドイツ=脱原発というイメージですが・・・・・
 現在、ドイツで原子力発電所は稼働しています。


 その一方で、発電量は減っています。
http://en.wikipedia.org/wiki/Nuclear_power_in_Germany


 新しい原発は作らない。寿命が来たのを延命しない。
 などの方法で、ゆっくり脱原発しているわけです。


 ドイツ全体での電力消費量は、増加しているのですが、
 減少した分は、太陽光や風力などの再生可能エネルギーでカバーしているわけです。


【年々コストが下がる太陽光発電と年々コストが上がる原発


 ドイツは、なぜ脱原発するのでしょうか?


 理由は簡単です。原発のコストがバカにならないためです。
 東電みたいに安全対策をせず、廃棄コストを無視して運用すれば、コストは安いのですが。
 年々増加する安全対策コスト、廃棄コストを考えた場合、原子力はお世辞にも安いとは言えない。
 何よりコスト不明、リスク不明な存在なわけです。
 保守的な発想で考えますと、原発は、とんでもなく危なっかしい。


 将来良い技術が出来て、安全対策コストや廃棄コストも下がるよ。と考えるのは、慎重な保守的予測とは言えません。


 対して、太陽光発電は、まだリスクやコストが判っています。
 多少高くても、リスキーではない訳です。保守的発想です。
 そして、導入コストも毎年下がっていきます。
(太陽光推進派のコスト削減予測は楽観的ですが、悲観的でも下がり続ける)



 対して、日本の原子力は現時点は低コストですが、思いっきりツケを未来に渡しています。


 廃棄コストは、未来の人負担ですから。


 今は楽だけど、将来苦しくなります。