世界規模の都市間競争と東京一極集中という誤魔化し

 世界規模で都市間競争が起きていて、日本が生き残るためには、東京への一極集中が必要である。
 みたいな論調がある。


 世界規模で都市間競争が起きているのは、間違いない。
 しかし、日本が生き残る策が、東京への一極集中かは非常に怪しい。
(東京がその巨大さと富を生かして生き残りを図ること自体は悪くない)


 ちょっと考えればわかりますが・・・スイスやフィンランドは人口が600万人以下です。
 ドイツは分権国家でベルリン都市圏は600万人程度。


 スイスやフィンランドは没落決定でしょうか?
 ドイツはベルリンへの一極集中を進めるつもりなのでしょうか?
 なんか違うような気がします。
 小さいなら小さいなりに、生き残り方を探るものです。
 単純な力がない者、パワーゲームで勝てないものの武器は昔から決まっています。


 知恵と勇気と努力です。


 魅力的な地方・地域作りを諦めていません。
 そして、国民一人一人が力を発揮することに、努力します。人材のフル活用です。遊ばせておく余裕はないと言う感じでしょうか?


 現状の東京一極集中推進論・容認論は、「地方活性化なんてできないよ」「地方投資は無駄」的な諦めや怠惰を感じてしまいます。


 東京の人材吸い上げ状態を見ていますと、必要な人材を十分育てられない東京と人材を活用できない地方とが対のように見えます。

 地方の人材が枯渇したら、どうするんでしょうね。


【東京の便利さに慣れて、世界の不便さで戦えない】
 こちらを参考。http://rionaoki.net/2009/12/2436

 世界の大企業500の内、140社がアメリカにあり、NYにあるのは18社。
 13%くらいでしょうか。残り80%くらいはNY外です。NYの市場規模はアメリカの8%くらいですし。
 そのため、無理やりNYに出てもあまり大きなメリットはない。
 金融など業種により集約することはあるでしょうが。


 日本は68社中51社が東京。
 かなり集中している。

 こんだけ集中している、東京に本社があった方が便利と感じるかもしれない。
 その結果、東京に集まるでしょうが・・・・
 この便利さを享受出来るのは、日本国内を相手にした場合だけ。


 世界を相手にした場合、どうなるでしょうか?
 東京は世界最大の市場ですが。
 世界全体の2〜3%くらいです。
 高額商品に限定したら、10%くらいありそうですが・・・・


 基本的に、東京外の方が遥かに大きい。
 そのため、グローバル市場で考えた場合、一極集中のメリットって本当にあるのだろうか?


 むしろ、東京の便利さに慣れ過ぎて、世界の不便さで戦えないのではないだろうか?


 成田は路線も多く便利ですが。結局、その便利さが、現地への権限移譲などの妨げになっているような気がしてならない。
 

【不便な地方】
 日本の地理を考えると、北米・ヨーロッパの玄関は北海道・千歳空港、中国・東南アジアへの玄関は福岡空港が一番良い。
 しかし、中央集権型の発想により、千歳空港や福岡空港ゲートウェイしてボーダレス化・グローバル化しようという発想にならない。


 首都東京を中心とした国際化なのだ。
 そのため、東京一極集中による都市間競争の勝利という発想から抜け出せないのでしょう。


 現状、北海道・東北の人は、北米・ヨーロッパに行く際新幹線など高いお金を払い成田に行かないといけない。
 西日本は、関空を玄関にしようとしたが、不便すぎて、韓国の空港が玄関になってしまっている。


 福岡は、韓国・台湾・中国にアクセスが良いのだから、福岡近郊に大胆に本社を移す大企業はないのだろうか?
 ユニクロは、世界一になりたいのであれば、東京ではなく、福岡か側の山口に本社を移すべきではないだろうか?