米国はなぜダルビッシュに46億円も払えるのか 〜メジャーリーグなどのプロスポーツビジネス

 YAHOOに「米国はなぜダルビッシュに46億円も払えるのか」という記事があった。

 一言で言うと、貧富の差という、個人的には、いまいちな内容。


 なぜ、アメリカのプロスポーツが巨額のお金を集められるのかについて考えられていない
 

【チケットが高い】

 単純にチケットが高いのだ。

 ファイターズのB指定が2500円くらいなので、大リーグの方が5割くらい高いような気がする。
 あと、SS席のような高い席もテキサスのほうが多いような気がする。

 阪神や巨人よりもシートが高かったりする。
 こんな風に強気な設定を出来るのは、アメリカ人が日本人よりもスポーツ観戦に多くのお金を使うためなのですが・・・(結局文化を理由にしてしまっていますが・・・)


 もっとも、単純にチケット代を上げただけでは、ファンに逃げられてしまう。
 そのため、試合などを含めた楽しめるようにする努力。
 それだけのお金を払える地域に進出していることを忘れてはいけない。
 テキサスレンジャーズが存在しているダラスフォートワース都市圏は人口500万人以上。広島・仙台や札幌の倍です。


 市場はあります。ですから後は、努力して開拓するだけです。

 
 90年代後半、300万人近い観客数でしたが、成績が低迷、2009年、200万人まで減少しました。
 対して、成績が向上した2011年は300万人へ。100万人も増加。
 チケットの平均価格が4千円だとしたら、40億円収入が増えたことになる。

 6年で46億円。年8億円程度を捻出するのは、それほど難しくないでしょう。


【スポンサー】
 大リーグではチーム名に企業名を入れることはできませんが、いろいろとスポンサーからお金を得ています。

 たとえば、LEXUS。上の図を見ていただけると判りますが、これはトヨタのレクサスだす。
 また、レクサスはテキサスレンジャーズの公式社用車?になっています。
 一方、レンジャースはいろいろと便宜を得るわけです。


 楽天などがやっていますが、試合ごとにスポンサーが付いていたりします。


 日本の大企業は、東京に集中しています。残りが大阪、名古屋にある程度でしょうか。
 ホークスは、ソフトバンクの支援を得ていますが、アメリカのほとんどのプロスポーツチームの背後には、ソフトバンクみたいな大企業が付いています(もしくは金持ちが。 孫氏は、九州育ちなので、ホークスを支援しているわけです)。


 これが出来るのは、アメリカでは、大企業の本社は分散しているためです。
 プロ野球チームが置かれるような大都市には、大企業が存在しているんです。


【グッズなど副業】
公式ユニフォーム、一式300ドルくらい。
http://shop.mlb.com/shop/index.jsp?categoryId=1452369

 チリも積もればの世界です。


【施設利用料が安い】
 収入が同じであっても、施設利用料を削減できれば、より多くのお金を選手に使うことが出来ます。


 東京ドームやYAHOOドーム、甲子園は民有民営です。
 旧大阪ドームは、公設ですが利用料が高く嫌がられました。
 大阪近鉄バファローズは年間使用料として管理費込みで11億円を支払っていました。まぁ、ドームなので空調・電気代がバカになりませんが。
 横浜スタジアムも公設ですが、利用料を取られています。年8億円です。さらに、入場料の25%〜30%を取られ、広告収入も全てスタジアムのもの。しかも、スタジアムは役人の天下り先。
ベイスターズ、横浜から出たら)

 対して、楽天は指定管理者になっており。年間5000万円の使用料だけを払えば、入場料収入も、売店や看板広告収入も手に入れていました。
 もちろん経費は、楽天持ちですが。広告収入だけでも、そうとうな金額になるので、十分プラス収益源になっていたはずです。


 対して、大リーグのスタジアムは、公設です。しかも、利用料は安いか、楽天方式。
 その分、多くのお金を選手に投入できます。


【娯楽】 
 楽天は球場をボールパークと定義して、「楽しめる場所」づくりのために努力をしています。

 あたりまえのことですが、野球は娯楽なんです。


 ドラフト・サラリーキャップ制度などで、戦力をある程度均衡させ、ゲームを面白くさせようとしているリーグの努力を忘れてはいけません。
 それでも、チームごとの差はでますが・・・数年に一回、目が覚めるような躍進をするチームがある点が面白いです。


【リーグ全体でのマーケティング
 昔、パリーグセリーグと比べて不人気でしたが、九州・福岡のホークス、東北・仙台の楽天、北海道・札幌のファイターズと地方のプロ野球のない地域に進出。
 ファン・市場を開拓する一方で、ファンを独占しました。そして、地元ファンの熱烈な支持を得ています。
(一方、巨人は東北・北海道のファンを失いましたが・・・)


 地方に進出したパリーグは、過去にない繁栄を誇っています。


 大リーグの場合、シカゴ・NY・ロサンゼルス・シアトルなど一部大都市でかぶっていますが、比較的バランスよく分布しています。
 収益が悪かったモントリオールから、ワシントンにチームが移るなど、これはある種、意図的にやっていることです。


 横浜ベイスターズのように、大都市を拠点にしていて、あれだけ低迷するなんておかしいんですね。
 あんだけ弱いと、当然ゲームにならない。
 自分たちが弱く支持されないだけではなく、他球団のファンもどこかで白けているでしょう。
 勝ち負けは別としてレベルの低い、白熱していないゲームになるんですから。


 まともな経営をしていない証拠。
 そして、プロ野球ビジネス・スポーツビジネスとして失格。


 大リーグの場合、チームへリーグからのお金が流れているので、こんな堕落した経営は許されない


 対して、Jリーグは地域分布に問題がありますが・・・


【リーグビジネス】
 大リーグはこれが強い。
 放送権料に始まって、ファンタジーベースボールなど、リーグビジネスで儲けている。

 そして、このお金は特定のチームではなく、全体チームに分配されます。

 これはJリーグと同じです。
 Jリーグの観客動員数は、プロ野球に比べると少ないのですが、リーグで交渉することにより、スポンサーにしろ放送権にしろ多少有利に進めています。