アップルはなぜ音楽・映画会社を買わないのか?
ソニーとアップルはよく比較されます。
ソニーは音楽会社と映画会社を持っていますが、アップルは持っていません。
なぜ、持とうとしないのでしょうか?
たぶん、アップルにとって、メリットが少なく、デメリットのほうが多いと考えているためでしょう。
アップルが音楽会社を持っていた場合、ライバルになってしまうため他社からの曲の提供で、障害になってしまう可能性があります。
アップルがやった領域は、ネット音楽販売・再生ハードの作成であり、音楽の作成は他社に任せました。
対して、ソニーは、音楽の作成・ネット音楽販売・再生ハードの作成と全てを自社でやろうとしました。
他のメーカー(サムソン、LGやパナソニック)は、もっぱら再生ハードの作成です。
ソニーとアップルを比べた場合、綺麗に水平モデル、垂直モデルに分かれるわけではありません。
アップルは販売もやったので、単純な水平モデルではありません。プチ、垂直モデルでしょうか?
これだけで勝敗が決まったわけではないですが。
しかし、領域の違いは面白いと思います。
なんというか、ソニーのやろうとしたことは、ソニーにしかできないことです。
サムソン、LGやパナソニック、そしてアップルにすらマネできない。
ソニーは当時、PS・PS2で勝ちまくり・儲けまくっていたので、コンテンツのネット配信で勝ったら、それこそソニー帝国の出現です。
ゆえに、誰もソニーを勝たせない。
ソニーはなぜアップルに負けたかではなく、ソニー以外はソニーに勝たせたくなかった。
ゆえに負けた。そんなこともあるような気がします。
【アップル】
ハードの生産に関しては、他社任せです。
CPUなど一部部品は設計しているようですが。
基本的には、工場なしです。
OSなどソフトウェアの開発は自社でやっていますね。
企画、研究開発、ソフトウェアの開発、販売という感じでしょうか。
特徴的になのは、ituneやアップルストアなど販売チャネルを持っている点でしょう。
一見、なんというか、DELLやユニクロやZARAのようなファストファッションのSAPを連想させます。
しかし、アップルが売っているのは、自社製品だけではなく、他社製品なんですよね。
ここら辺は、他社とのネットワーク作りの上手さ、エコシステムをうまく構成していると考えられます。
【ソニー】
映画・音楽・ゲームのコンテンツから工場まで持っています。
テレビに関しては、液晶パネルを外部から買っていますし、組み立て工場の多くも外注になっているみたいですね。
領域は、アップルより広いですが、販売チャネルに関してはアップルより小さいような気がします。
【事業領域】
自分たちがどの事業領域をするかは非常に重要です。
拡大することにより、売上・利益を拡大できる場合があります。
ユニクロなどSAP。
身近な例では、卸が小売りに参入する例や、卸がレストランや回転ずしなどをやる例です。
一方で、
得意ではない事業領域に手を出した場合、収益を上げるどころか赤字へ。
さらに関係者との余計なトラブルを起こします。
事業領域を拡大した結果、既存の事業の売り上げダウンもあり得ます。
的確な事業領域を抑えることが利益を出すことで重要なのでしょう。
基本的に部品組み立てのセットメーカーは、あまりもうからない領域です。
そのため、中国や台湾に投げてしまうところが多いです。
上流の部品・部材・素材製造になると良いのですが。
そのため、テレビの分野単純な組み立てメーカーになってしまったソニーが、組み立てすらしていないメーカーよりも苦戦するのは、当然といえば当然。
もっとも、薄型テレビに関しては、部品も儲からなくなってしまいましたが。
そのため、サムソン・シャープ・パナソニックも大赤字になってしまいました。