カロリーベースの自給率を使う場合の注意 〜自給率や大阪の幸福度をどう解釈するか

 池田信夫氏が「カロリーベースの食料自給率」という嘘という記事を書いた。
 内容の是非は別として...

 「カロリーベースの食料自給率」は、無意味の数値ではなく。
 「カロリーベースの食料自給率」は、使い方次第でとっても便利な数値です。


 例えば、食料安全保障。


 カロリー摂取(栄養)が重要なので、これは、金額では意味がない。


 畜産の場合、エサはだいたい8割が海外から来ていて、2割しか自給していない。
 エサが海外から来なければ、家畜を育てられないので、8割を含めると数値として意味がない。
 0.2をかけて、自給率分にするのは意味がある。


自由貿易と絡めて考える】

 さて...食料自給率は、自由貿易保護貿易と絡めて主張されることが多いですが...

 国内における畜産を保護し、海外産の輸入を阻止することにより、自給率は大幅に上昇するでしょうか?

 エサが海外からの供給ですので、
「カロリーベースの食料自給率」はほとんど上がりません。


 もし、本当に自給率をあげたいのであれば、
 その数値の中身、出る理由を理解し、考えないといけません。


【世の中には数値を用いて嘘を言う方法があります】
 受け手が、その数値の意味を理解していないことをいいことに、
 数値の解釈を自分たちの都合の良く解釈(誤用し)、
 議論を誘導する人が居ます。

 TPPにおける「カロリーベースの食料自給率」や、
 大阪市議選における大阪の幸福度です。

 法政大学では大阪は日本最低47位の幸福度ですが、英国の雑誌においては、「世界の住みやすい都市ランキング」で世界12位アジアで1位です。


 表題だけ見ますと、一見、同じものを比較しているようですが、中身が全然違います。
 英国の場合、交通の利便性や文化・娯楽・教育などが評価項目入っていますが、法政に入っていません。
 また、英国の雑誌では、大阪は大阪市を指しているのではなく、大阪都市圏で、京都・神戸が入っているようです。
 そのため、結果が当然違います。


 数値の意味、中身を知らないで、議論するのは全くの無意味ですし、数値を用いた改善も期待できません。