石原慎太郎氏の「パチンコ、自販機」発言で判るこの国の理科と社会のレベル

 パチンコと自販機合わせ、1日1000万キロワット時(kWh)。
 福島原発の発電能力は、600万〜900万キロワット(kW)、1時間600万〜900万キロワット時(kWh)(らしい)。
 夏の電力不足は、最大1500万キロワット(kW)。
 福島原発とほとんど同じじゃないか。
 パチンコと自販機の電力消費なくせば、電力不足解消じゃないか...
【おかしい話】
 日刊ゲンダイを見ると石原氏の発言には「年間」という単位がついている。
 http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp3-20110411-759622.html
 年間1000万キロワットと言うことは、1日3万キロワット時(kWh)くらい。
 少なくないか?
 そう単位がいい加減なのだ。

【実際】
 実際は、自販機が1日450万キロワット時(kWh)、パチンコが1日450万キロワット時(kWh)くらいらしい(ネットで見た数字なのであまりあてにならないけど...)。
 つまり、1日900万キロワット時(kWh)
 それに対して、福島原発と不足量は1時間あたりだ(厳密には仕事率なので違うけど)。
 単位に差がある。この分を補正しないといけない。
 問題になるのは、夏のピーク時、暑い日中だ。夜ではない。
 
 実際には自販機は「エコベンダー」と言って、夏のピーク時には電力をあまり使わないらしい。

 エコ・ベンダーは、夏場(7月1日〜9月30日)、午前中に商品を冷やし込み、エアコンなどの使用により電力需要がピークを迎える午後(1〜4時)は冷却運転をストップする省エネ型の缶・ボトル飲料自販機です。
 電力会社は、年間で電力需要がピークに達する時にも電気を安定供給するため発電所の新設などさまざまな努力をしています。エコ・ベンダーは、この午後のピークの一部を午前中にシフトすることを目的にしており、これにより余分な発電所の新設を抑える効果も期待されています。
 エコ・ベンダーの設置は、95年から始まりました。現在では全国の缶・ボトル飲料自販機の100%がエコ・ベンダーとなっています。

出典:http://www.jvma.or.jp/kankyou/eco.html

 とすると、問題はパチンコでしょうか。
 パチンコのピーク時は、いくらなんでしょうか?
 判りませんが、適当に出してみましょう。10時間営業するとして、450万キロワット時(kWh)割る10時間で、1時間45万キロワット時(kWh)。冷房の日中のピークで60万キロワット(kW)くらいでしょうか。
 まぁ、パチンコを無くせば、不足分を4%くらいは解消できる。

【本当の、より深刻な問題】
 本当のより深刻な問題は、石原氏も、ほとんどのマスコミ、一般の人も議論の前提となる数値の解釈が明確に変なのに、指摘していない点だ。
 そして、石原氏の持論に賛成する人も多い。
 東京電力の作る電力の最大20%前後を、自販機とパチンコが消費するなんて、ちょっと考えれば判ることだ。
 自販機とパチンコを止めて問題の半分が解決するなら、誰も苦労しない。
 困ったことに、石原氏は無能や馬鹿な指導者ではない。この国の中ではマシな方だ。
 本来ならば、勘違い指摘され、速やかに修正されて終わるべきレベルの話だ。
 しかし、勘違いを指摘しない。それどころか支持している。
 支持している人も、馬鹿ではなく多くは常識と良識ある普通の人たちだ。
 だがしかし、社会と中学レベルの理科の知識だけが、すっぽりと欠落しているのだ。
 日本社会は、社会と中学レベルの理科の知識すらない大人がほとんどということなのだろう。
 そして、彼らが理系の技術者・専門家の上に立ち、指示・命令を出している。
【マスコミの責任】
 自分自身、ちょっと調べてみて思ったのですが、そもそも、出ている情報がマスコミを通した段階で単位がおかしくなっているような気がします。
 もっとも、僕自身記述を手抜きしていますが、キロワットと使っていても、エネルギー量をあらわすkWhと仕事率を現すkWが混在しています。
 電力の専門家は、話している内容に寄り明確に違いが判ります(理系も何となく)。
 普通の人には判りにくい。

PS 自分に必要ありません。だから、他人や社会に必要ありません。は非常に危険な気がします。

PS2 4月14日追記
 自分自身の記載にも、キロワットと使っていても、エネルギー量をあらわすkWhと仕事率を現すkWが混在しているので、4月14日の段階で判り易いようにキロワットとキロワット時に追記・変更しました。

PS3 4月14日追記
 電力量=仕事量=エネルギー(単位Jジュール)です。
 電力=仕事率=単位秒あたりの仕事量(単位Wワット)です。
 モーターのパワーや発電所の発電能力、家電の電力などは、通常ワットで表現します。
 電力料金の請求は、エネルギー消費量に基づいて行われます。が、表記はJジュールではなくWhを用います。
 1ワットを1時間用いた場合、エネルギー消費量は3600Jジュールです。しかし、これは正確な記述ですが判りにくいです。電力会社は1ワットを1時間用いた場合、1Wh(1ワット時)と表示します。
 たぶん、判り易さからでしょう。
 電力不足の問題は、電力量不足というよりも、電力が問題になります。
 この記事では、パチンコ業界・自販機業界の電力が判らないので、1日の電力量の消費量(エネルギー消費量)から必要な電力を推測しています。

 ただし、この記事の趣旨は仕事量と仕事率ではありません。発電能力が600万kwなら1時間に600万kwhのエネルギーを生産できることは容易に判ります。逆に、1時間に600万kwhのエネルギーが必要であるならば、だいたい600万kwの発電能力が必要なのは判ります(変動するので+αが必要ですが)。
 1時間に必要な電力量が判れば、必要な発電能力はざっくりですが判ります。ざっくり計算なら、ほぼkWにするか、kWhにするかの作業です。
 逆に1時間に換算しないと、訳が判らない話になる
 1日に必要なエネルギー量と1時間に必要なエネルギー量は別けずに議論をしては、数字が10倍以上変動する可能性があり、議論を歪め、結果を歪めてしまいます
 時給1万円と日給1万円との差を考えると判ると思います。
 まして、年であれば数千倍の差になります。

 それにしても、書くって難しいな。

PS4
 コメントを書いてくれた方々には、申し訳ありませんが、荒らしや誹謗中傷が酷くなったため、コメントを停止します。