未来工業 カンブリア宮殿では言っていないこと 〜本当の凄さ

 以前、未来工業さんの工場を見学させていただいて、お話を聞いたことがあります。
 テレビでやっている内容は、嘘ではありませんが、言ってないことが相当あります。
 ケチケチ、破天荒なことばかり注目されていますが...


【設備投資】
 ここは、かなり設備投資されています。
 実は、設備の稼働率はあまり高くない。工場見学をした際に、機械の稼働率が低いような気がしたので、社長さんに「稼働率」を聞いたところ、あまり高くないことを言っていた。
 どうやら、多品種少量、短納期のためには、この稼働率じゃないと難しいようだ。
 そのため、工場の大きさの割には、人間が少ないように見える。


 事務所が映りましたが、ここの事務の人は、大型のモニターやモニターをふたつ使っている人が多いんです。意外とこれは当たり前ではないです。省スペース化で小型画面のノートを使っている会社も多い中、対象的です。大型モニターを使うと10%〜30%上がると言う説もあるので、製造だけではなく事務の生産性にも気を配っている。
 ただ単なる、ケチケチではなく、従業員の生産性を上げるために、出すところは出す。ここの特徴だと思います。
 出すところは出す、出さないところは出さないがハッキリしているとも言えます。内部留保もあるので不景気だろうと投資が出来る。日本の半導体産業や液晶産業は不景気時に投資を節約して、競争力を失ったのとは対照的ですね。


【研究開発・知財 価値を高める意識】
 番組内では、【差別化】と言っていますが、ここは相当、知財に力を入れています。
 番組では、さらっと流しますけどね。
 製造コストや生産技術で差別化することの限界を認識している感じです。
 製品自身も、便利グッズ的な要素が強く、単純な製品を安く作ると言うよりも、+αの価値をきっちり足している感じです。
 工場訪問でも、知財について説明を受けます。
 本当に、お客様の話を聞き、きっちり対応する組織であり、お客様の抱えている問題を解決する商品を出す会社です。
 ケチケチのコスト削減だけでは、あそこだけの収益は出ません。
 スペックではなく、お客さまにとっての価値を考えて、商品価値を高める点は見事だと思います。


【営業のノルマ】
 上記と関係がありますが...未来工業は、客に商品を押し付ける営業ではない。
 むしろ、営業の場合、話を聞くことの方が重要のようです。


 売れない製品を無理やり売ろうとするよりも、お客さんの話を聞いて、開発するという戦略でしょうか。


【高信頼の会社】
 基本的に、高信頼の会社ですね。
 従業員を信頼している。


 たぶん、従業員も経営陣を信用しているのでしょう。
 経営陣の方からは、精練な感じを受けました。


 従業員の給与を下げて、自分たちは良い暮らしをしよう。


 なんて、くだらないことは考えていないでしょうね。


 経営陣が、精錬で腐敗していないから、部下も不正が出来ずらい。
 ほとんどの人間は、信頼されると、その信頼に裏切らない様に行動する。


 だいたい不正は、同僚にバレるんですよ。
 でも、でも見て見ない振りをするんですよね。


【ここはやっぱり劇団】
 番組でも言っていましたが...やっぱり劇団と言う感じですね。
 自律した人たちが集まる組織は強い。  

【まとめ】
 近頃の会社は、サービス残業させて当たり前の世界。
 一方、従業員の生産性を上げるとか、出すべきところのお金を出すという当たり前のことが出来なくなっている。ケチのポイントを間違えているし、価値を創造することも出てきていない。
 社員が頭を使うと、会社の経営陣の馬鹿さかげんが判るので、社員は心を殺して、結果、頭を殺さないと仕事なんてやってられない。
 未来工業とは...真逆ですね。