TPPの北海道への影響試算の微妙な点 その2 コメが9割減?

 前回、「TPPの北海道への影響試算の微妙な点」を書きました。
 実際問題として、コメに関しては、北海道よりも、内地・西日本の方が、遥かに大きな影響を受けると考えられます。
 夏の暑さにより、西日本におきましてコメの品質が低下しています。
 品質に関しては、西日本より北海道の方が上の時代なのです。
 新潟すらも品質低下が起き、長野のほうが品質が上ということも起きています。

 品質の低下とTPPによる価格の低下。
 さらに、西日本は、北海道よりも農家の農地が小さいので、作るほど赤字という状態になり、北海道の農家よりも、先にギブアップする可能性があります。
 生の牛乳に関しても、そうですね。
 内地・本州の農家が先にギブアップする可能性があります。
 結果としては、国産としての北海道に対するニーズが高まり、国産に占める北海道の割合が増加する可能性が考えられます。
 生産額自体が増えるとは思えませんが、9割減は過大なような気がします。
【そもそも9割減が問題なのか?】
 以前転作を考慮していないといったが、9割生産額が減少した場合、農地はどうなのだろうか?
 放置だろうか?
 残った農家に吸収されるとしたら、残った農家は大規模化して価格競争力を持ち始めるはずだ。
 北海道の米農家は5ヘクタールくらいあるので、9割農家が減少して、集約されれば、1農家当たり50ヘクタールになる。
 海外との対抗も夢ではない。
 むしろ、韓国や台湾に売り込めるだろう。
 食料自給率は、落ちるだろうが...自給率が14%まで落ちるのはどう考えても異常な計算だ。

【そもそも、どこが輸出し、どこから輸入するの】
http://nocs.myvnc.com/study/geo/rice.htm
 世界のコメの生産は、4億5000万トン。ジャポニカ種は15%らしい。貿易量は、3500万トン。最大の輸出国は、タイ、ベトナムパキスタン
 日本の消費量は、だいたい770万トン。
 日本人が消費するジャポニカ米の生産は、中国、アメリカ、オーストラリアです。この中で、最大の輸出国はアメリカで、350万トン(全てジャポニカ米かは不明)輸出している。生産量は700万トン。
 もし、生産量が9割減るとしたら、700万トン輸入する必要性がある。で、どこから調達できるのだろうか?どこの国に、そんなに余裕があるのだろうか?
 中国は、農地が住宅地・工場・駐車場に代わってしまい土地生産性の向上を考えても、大増産は難しい。カリフォルニアは水不足気味で、大増産は難しい。
 そもそも、日本人が満足できる米を700万トン輸出できる国は、どこなのだろうか?そこが判らない。