重大なダメージを受けるのは、米や砂糖、乳製品だと思われますが...農水省が言うほど壊滅的なのだろうか?
砂糖が壊滅するのは、ほぼ間違いないのですが、米は結構生き残る可能性があります。
【なぜ、米が生き残るのか?】
ポイントは3つ。
①日本産の米の価格が下がっている。
②アメリカ産のコメの価格が上がっている。
③アメリカ、オーストラリア共に、生産増強の余力がない。
①日本産の米の価格が下がっている。
wikiの資料によりますと...
米価の推移
1993年(平成5年) 23,607円/玄米60kg
2007年(平成19年) 15,075/玄米60kg
1993年(平成5年) 約400円/玄米1kg
2007年(平成19年) 約250円/玄米1kg
②アメリカ産のコメの価格が上がっている。
こちらのデータ。
http://nocs.myvnc.com/study/geo/rice.htm
アメリカ産だけではなく、世界中で米の値段が上がっています。
80年代、90年代とは、だいぶ環境が変わっています。
【精米】新潟県産 白米 こしひかり5kg 平成23年度産 ¥ 2,082 (¥ 2,082/袋) 1キロ約400円
【精米】新潟県魚沼産 白米 こしひかり 5kg 平成23年度産 新米 ¥ 2,852 1キロ約570円
それに対して、アメリカのアマゾン
どうにも、アメリカで日本の人が食べているのは、
【田牧米】【玉錦】というブランドなので、そちらで比較。
Tamaki Gold - (5 lb Bag) Price: $16.79 (約3.36/ lb)
Tamanishiki 15-Pound Price: $30.77 ($2.05 / lb)
1ドル75円として、1ポンド0.5キロとして...
【田牧米】 1キロ約383円
【玉錦】 1キロ300円
円高込み、アメリカ現地でこの値段。
アメリカから日本への輸送料を1キロ100円とすると...国内価格は推定
【アメリカ産 田牧米】 1キロ約480円
【アメリカ産 玉錦】 1キロ400円
【新潟県産 白米 こしひかり】 1キロ約400円
【新潟県魚沼産 白米 こしひかり】 1キロ約570円
うん? 安いか。
仮に、品質無視で、【玉錦】1キロ300円の半値のコメを日本に持ってきたら、1キロ150円+輸送料1キロ100円で、1キロ250円になるかもしれない。
一方、国産でも品質無視をすれば、1キロ200円〜300円は存在する。
もっとも、そのレベルの米を皆が、安いから食べるかと言うと、店頭スペースを考えると、せいぜい10%も居ない消費者だと思われる。
③アメリカ、オーストラリア共に、生産増強の余力がない。
カルフォルニア、オーストラリア共に、水不足であり、大量に水を使う稲作に、水を割く余力は実はありません。
世界全体での米の生産は、多少の波はありますが伸びています。
日本のコメの生産は、2004年の約1000万トンから、現在は約770万トン当たりです。
一方、アメリカは...日本と同じように生産量を落としています。
別にアメリカでコメが不人気な訳ではありません。
日本の1割の70万トンをアメリカが輸出する場合、結局、どこかの輸出分を削る話になります。
日本が高く買うなら別ですが...相場並みなら、アメリカに取り、あまり魅力的な話ではありません。
価格のつり上げ要因になりますので、アメリカ農家にとって悪い話ではないでしょうが。
【ダメージ】
現状の1ドル75円水準なら、国産のコメの生産量は8割〜9割程度は残ると私は思います。
価格の下落を1割としますと、国産のコメの出荷額は現状の7割〜8割程度になると思います。
大ダメージですが、壊滅ではありません。
くだらない減反さえなけば、北海道や秋田の八郎潟などは、十分生き残る水準だと思われます。
失業者の増加はありますが、そもそも日本の農家の大半は、兼業です。
しかも、多くは農業外の収入の方が大きい人たちです。
ですので、農家の失業と言っても、なんというか現状に合わない表現です。
【TPPのメリット受ける地域とデメリットを受ける地域】
日本全体では、デメリットはメリットにより相殺されますが、
TPPのメリット受ける地域とデメリットを受ける地域は、一致しません。
TPPのメリット受ける地域は、東海・関東・近畿であり、デメリットを受ける地域は北海道と東北、九州です。
重要なのは、北海道と東北の産業振興に対するサポートです。
特に北海道です。