日本の高いタクシー料金

■タクシー高くない?
 ついこの間、タクシー料金の値下げを申請したら、拒否されたというニュースがありました。何と言うか、非常に馬鹿げた行為です。
 タクシー労働者の保護とか言っていますが、実際は逆です。人々は既にタクシー料金を高く感じていますので、多少の価格の引き上げて敏感に反応します。逆に、少し下げて、失われた顧客が戻ることはありません(数学ですと対象ですが、心理は対象ではありません。まぁ、この辺は物理に似ていますね)。タクシーの利用回数を減らす、1回の利用金額を減らすという選択ではなく、使うのを止めると言う選択肢をするためです。一度使うのを止めると、習慣が変わりますので、戻すのは容易ではありません(これは小売も同じ。一度離れた客を戻すのは、既存客にお金をより多く使わせるよりも大変)
■国際比較
 日本のタクシーは高く感じます。
 他国はどうなのでしょうか?貧富の差が大きく、賃金水準が違うアジアと比較するのではなく、欧米を中心に国際比較したいと思います。
 国土交通省の調査資料よりますと、日本のタクシーは高くない。むしろ安いとも言えますが...何と言うか海外旅行にいった際の体感に合いません。特に、航空料金を見ますと、海外がバカ高くなっています。正規で乗る人間なんてまずいませんし、格安工航空を対象外にしている気がします。どうも、かなりバイアスがかかっている資料のようです(国土交通省の資料ですので、日本の航空機、タクシーは高くないという結論を出すために、作られた資料でしょう)。
 他のサイトで調べてみます。
 こちらのサイトを元に考えて見ましょう。旅行のサイトですので、こちらのほうが体感に近いと考えられます。
 地域ごとにより違いますし、初乗りの定義が良く判りませんし、料金システムは複雑ですがが、細かいことは抜きにして。
1ユーロ=160円、1ポンド=160円、1ドル=110円 と2007年レベルのめちゃくちゃ円安に換算しています。つまり、海外が高めに出ます(物価の違い、賃金の違いを言訳にさせないためです)。

国名 基本料金

キロ料金

基本料金

キロ料金

日本

660円

312円

660円

312円

フランス

5.2ユーロ

0.71ユーロ

832円

114円

オランダ

4.00ユーロ

1.94ユーロ

640円

310円

イギリス

2.2ポンド

約180ペンス

352円

288円

ドイツ

2.50ユーロ

1.53ユーロ

400円

245円

アメリ

2.5ドル

1.2ドル

275円

132円

 かなり体感に近い料金です。一般的にヨーロッパの賃金は、日本より高いのに、日本より若干安い場合が多いですね。
 基本的に、ヨーロッパは初乗りが高いですが、キロ当たりの運賃が安いので、長距離の場合最終的には安くなります。
 タクシーは短距離を数多くですと、待ち時間の量が増えて時間効率が下がるので、初乗りの高さでカバーしていると思われます。
 フランスの短距離の高さと、長距離の安さは脅威ですが、郊外の移動に便利でした。
 結論から良いますと、やっぱり日本は高いという感じです。現状のレートで見ますと、さらに差が出るでしょう。

■タクシーの労働時間って何?
 よくタクシーでは12時間労働で、手取りが10万円なんていうことを言う人が居ますが、その12時間労働の内訳は、どんな感でしょうか?
 結局、待ち時間であり、流している時間でしょう。
 お世辞にも価値を生む労働、お金をもらえる労働とはいえません。
■航空機やホテル、映画では?
 航空機やホテルでは、「空気を運ぶより良い」「空き室より良い」ということで稼働率が低い時間帯・日・季節は、格安の値引きを行います。また映画では購買力の違いにより、学生料金、シニア、社会人と分けています(価格が高いと、購買力の低い層、時給の低い層は割高に感じ、そもそも利用しなくなります。結果として、タクシー業界は、金のある層のみをターゲットにしていることになっています)。
 タクシー業界も、同様なことをやるべきでしょう。一部の会社は、シニア、病院送迎などに大幅割引を行っているようですが、ビジネスとしては正しい選択です。
 結局このようなビジネスとしての正しい選択を妨害しているのが、価格の規制なのですが....
■キッチリビジネスをすれば
 消費者は喜び、市場は増え、タクシー会社も労働者も儲かるのですが...行政も、会社も、労働者も○×なので、ムリっぽいですね。

PS
 タクシー業界はアメリカでは移民がやる仕事。ビジネス的に本来高収益・高所得ではない。ある程度の低賃金は覚悟しないといけない。
 アメリカでは、空き時間・待ち時間に勉強して、次の勉強へのステップアップへの準備に使われる場合が多い。タクシー業界に10年勤めるという発想が、そもそも間違っているのか...