日本の航空運賃はなぜ高いのか

 LCCが入ってきたとはいえ、日本の航空運賃はなぜ高いのでしょうか?


 理由はいろいろとありますが・・・安くする理由がないためです。


 会社の目的は利益を出すことです。


 安くしてライバルからお客を奪うという考え方もあるのですが、
 価格競争をして利益を下げてしまっては意味がありません。


 現状の日本では、ライバルが少ないので、完全自由競争ではありません。
 ライバルと非価格競争をしたほうが、自身もライバルも利益を上げられるために、価格競争を避けるようになります。
 暗黙の談合状態です。


【本当のライバルが現れたときどうするのか】
 価格志向の新会社が現れた場合、どうするのか?
 過去に価格志向の会社が現れた場合、一時的に価格競争をしかけ、潰しに行きました。


 どうするかと言いますと、価格競争志向の会社(例 スカイマーク)の前後の便をスカイマーク以上に値下げします。
 そうしますと、価格志向の高いスカイマークのお客はそちらに流れ、スカイマークは運営が成り立たなくなります。
 スカイマークの選択肢は、撤退するか、価格競争を辞めて協調関係を築くかの選択肢になります。
 スカイマークよりも体力があるANAやJALだから出来る技ですね。


 上記の例は、2013年頃、那覇/宮古線で起きています。
 スカイマークが撤退した後、値上げしたのが印象的ですね。

 
 AIRDOが就航した時も、似たようなことをやっています。


 本来このような行為は、独占禁止法違反なんですが、日本では当然のごとく機能しません。


 つまり、行政も共犯でして、ANAやJALに対抗する安い航空会社が出ることを拒否しています。
 言っていることとやっていることが違う訳です。


 規制緩和が叫ばれていますが、本来あるべき規制が全然機能していない。
ブラック企業問題などもそうですが)
 要するに一部企業の利益のための規制であり、規制緩和なんですね。


【でも、LCCがあるじゃないか】
 LCCが存在している空港は、立地が悪い関空や成田などの比較的不人気空港です。
 発着枠が少ない羽田での活動は制限されています。


 特に成田は時間制限が厳しいため機体の運用効率を重視するLCCにまったく向いていません。
 また、新規参入の拠点空港としてもまったく向いていません。


 どういうことかと言いますと、成田は23時以降の離着陸が禁止されています。
 沖縄・成田が2時間かかるとした場合。
 沖縄を21時には出発できないと、成田に着陸できない訳です。
 そのため、沖縄を21時には出発できない場合、沖縄で欠航となるわけです。
 そうなりますと、次の日の成田出発も自動的に欠航となります。


 航空会社としましては、踏んだり蹴ったりです。


 成田は、新規参入の航空会社やLCCにはまったく向いていない空港なんです。


 どうでも良いところでは、自由にさせていますが、
 肝心要の部分に関しては、しっかり護っているわけです。



【航空機は金持ちの乗り物、貧乏人は旅行なんてしなくて良い】


 表立って言うことはありませんが・・・
 基本的に、こんな考えがあるみたいです。
 航空機会社も、国も。


 個人的には、この考え方が最大の問題です。



 ところが、海外はこんなことは考えない。
 AirAsiaのキャッチフレーズは 'Now Everyone Can Fly'です。
 「今、誰もが飛ぶことが出来る」です。


 金持ちが飛行機を使い、庶民はバスで移動ではなく、
 皆が飛行機を使える低料金。


 心構えそのものが違うんですね。



 新幹線は非常に便利ですが高価です。
 庶民には気楽に使えるものではありません。


 高速道路も、東京←→地方は便利ですが。
 地方←→地方はまったくもって不便。