ネットでもって、いろいろと、アフリカが貧しい理由、アフリカが発展しない理由を書かれています(ここで言うアフリカは、基本的に、北アフリカや南アフリカを抜いた地域です)。ここで上げるのは、私の説です。
■60年代、70年代の成長と内戦
一部のアフリカ地域は、成長した。しかし、資源価格の低下と内戦により、成果を失ってしまった国があまりにも多い。資源国の呪いにはまり、内紛をし続け、非常に貧しくなってしまった。資源がないと内戦にならないかと言うとそうではなく、民族・宗教・部族・権力闘争でいとも簡単に内戦になる。
コートジボワールやリベリアには、正直裏切られた感が大きい。
植民地化云々の話が出るが、植民地化されたのは、アフリカだけではない。
なぜ、アフリカがそんなに問題になるのか?
実際は、植民地化以外にも、発展しない理由があるのではないだろうか。
■都市文明
そもそも、アフリカに文明(都市文明)はあるのか?
多くの地域は、古代・中世の段階で100万人都市を持っていました。
日本は江戸時代のある時期において、世界最大の都市人口になっており、世界の先進国になっていました。
他の百万都市としては、古代ローマ、ビザンチン、バグダット、西安などがああげられます(アレキソンドリアやアステカもそうかな?)。
アステカ、インカ、ローマなどは人口1000万人を超える帝国でした。
千万人を統治管理する、制度、物流、情報網、人材、知識を有していたわけです。
では、アフリカに、そのような都市文明があったかと言いますと...微妙です。マリ王国など、イスラム系の人によりかなりしっかりした国を作られていたようですが、今はなんともです。ただし、セネガルなど、イスラム文明色が強いところは、意外と内政がしっかりしている。
あーだかーだ、発展途上国といっても、アジアの国々やアメリカでは、それなりに国家や組織というものが昔からありました。
レベル的には劣っていても、腐敗していても、組織や技術、人材は居たわけです。
それに、中東、インド、中国は、18世紀より前は、世界の技術・科学を引っ張ってきた地域です。
国のベース・社会のベースがなんやかんや言ってもある訳です。それに対して、アフリカは部族色が強すぎる。
■水運も難しい。
古代や中世において、水運は非常に重要です。
馬車の場合、馬一頭、人1人で1トン時速4キロぐらいが関の山です。
しかも、道がある程度整備されていればの話です。
昔、リヤカーを泥道で引いたことがあるのですが・・・地獄でした。
アスファルトの偉大さを感じましたよ。
トラックも200馬力とか、500馬力とか(ざっくり馬500頭相当)ありますけど。
それくらいないと速さと輸送重量の両立は出来なんですね。
(1馬力は馬一頭が4時間働く場合を前提にしているみたいですね。ダッシュではありません)
その一方で、
船を使えば、船頭1人で1トン以上運べます。
木造の大型船ならば、100トン〜1000トンくらい。10人から40人くらいで運べます。
船を作る財力が必要ですが、圧倒的に低コストなんです。
ナイル川やニジェール川は水運が可能なのですが、乾季と雨季があるため、意外と水運が難しい。
アメリカはミシシッピ川など水運に恵まれている大陸ですし、ヨーロッパもアルプスの水など水運をやりやすい国です。
中国とかも黄河や長江など水運が発達しています。
株式会社など会社は、船を作る資本を集めるために発展したそうなので、面白いですね。
アフリカのマリ帝国はニジェール川沿いですし、エジプトはナイル川沿い。
水運がなければ、巨大都市なんて維持できない>ですよ。
で、ニジェール川の河口は地中海とは、真反対。コンゴ川も真反対なので、他の文明の影響を受けるのも容易ではありません。
大例外がマヤなどですが・・・・
■物流が劣悪
アフリカ内陸国であるマリは一応鉄道はあるのですが、効率が悪くひどい状態です。
アメリカよりも物流コストが高い。
物流が悪く、そのため、工業製品・部品はヨーロッパ・アメリカ・中国よりも高いです。
また、輸出しようにも、物流コストが高いので、人件費が安くても、アメリカ・ヨーロッパへの輸出は割が合いません。
組立加工も、縫製もあまり向かない。
アフリカ内陸国は、外資参入で輸出で産業振興なんて手は向いていません。
(エチオピアは頑張っているので不可能ではない。かなり頑張らないといけない。エチオピアの場合はエチオピア航空と中国が建設した鉄道が大きい)
ルアンダがITで頑張ろうとしていますが。
まぁ、アメリカや中国も沿岸部、水辺から発展したので、アフリカでも沿岸部からが最初だと思われたのですが・・・
西アフリカ沿岸部は、意外と人口が少ないんですよね。近年は増えていますが。
ジャングルがあったためか、昔は人口が少なかったです。ジャングルは物流が最悪ですし病気もあるし。水害あるし。
人口が多かったのが、マリなどニジェール川沿岸地域で、海より遠いところが人口が多いところなんですね。工業化には向かないんですね。
ナイジェリアもラゴスの人口は多いのですが、思いの外内陸部・北部の人口が多く、南部沿岸部の人口が少ない。
■繊維産業
いきなり、電子産業・重工業に行くのは稀で、昔からある被服・繊維産業の発展から他の産業に発達していきます。
どう言う訳か、アフリカでは被服・繊維産業がなかなか立ち上がらない。北アフリカ地中海沿岸のチェニジアなどにはあるが、象牙海岸の国々では輸出産業にまで育っているとは言い難い。
もっとも、徐々にですが、エチオピアなど成長している国もあるので、2010年に以降は、マシになるかもしれない。
セネガルあたりには期待が大きい。
■鉄・金属加工
一番判り易いのが鉄道インフラです。中国やインド、ラテンアメリカも、多くの発展途上国は、植民地時代の鉄道インフラを自国の力でメンテナンスできます。もともと、金属加工の職人が居ましたし、メンテナンスを通して、技術や産業を向上させています。
日本の場合は、輸入して数年でコピーを作っています。
中国もインドもコピーを作っています。
しかし、アフリカでは出来ていません。金属部品が破損した場合、輸入するしかありません。入手できなければ破棄です。ナイジェリアは大国ですが、50年以上前の植民地時代に作成された鉄道をメンテナンスできず、止まっている鉄道が出てきています。
北アフリカや中東に行くと、金属細工や絨毯などあります。中央アフリカでもあるにはあるのですが、やはりレベルが低いです。
■実は意外と資源がない(ムラがある)
実は、ここがかなり痛い。
じゃあ、金を投入して、人材育成などをすれば、なんとかなるかと言うとボトルネックがある。
人材以外にも、アフリカはレアメタルなどに恵まれていますが、石炭には、どうにも恵まれていません(日本は1億トン以上生産していました)。鉄鉱石はかなりあるんですがね。
石油の大規模な利用は1880年アメリカあたりから。1940年より前は石炭がエネルギー源の主流でした。
日本より石炭埋蔵量が多い国は、南アフリカ(332億トン)とジンバブエ(5億5000万トン)くらいしかない(曖昧ですが・・・)
日本はかなり採掘したのですが、埋蔵量は3億8000万トン(利用困難なものはのぞいてです)。
対して石油大国ナイジェリアは2億トン。
産業革命以降、人類は膨大な石炭を利用しているんですよ。
イギリスは、1750年代で年間400万トン、1850年で年間5000万トンです。
14世紀ごろは、鉄1トンを得るために、木炭だと5トン、原木だと50トンは必要だったらしい。
https://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/kori/science/ayumi/ayumi29.html
産業革命時の石炭の記載はないけど、おそらく3〜4トン以上は必要だったのでは?
つまり、100万トン鉄を得るためには、300万トン以上の石炭が必要。まぁ、難しいですね。
蒸気機関車を動かすために石炭を輸入しなくてはいけませんし、製鉄をするためにも石炭を輸入しなくてはいけません。コンクリートも鉄材も輸入しなくてはいけません(日本は自給できます。鉄鉱石は輸入ですが)。
何をするにしても、外貨がでていってしまいます。
資源がないから、自分達だけでなんとかも無理なんです。
中世、古代においても、資源がないので、その資源を利用した産業が発達しませんでした。
■実は発展しているアフリカもある。
どうせ、石油や資源でしょ? と思われるかもしれませんが。
セーシャルとモーリシャスです。インド洋の小さい島国ですが、
観光と繊維産業、軽工業で発展しています。
戦争をせず、腐敗の少ない政府が産業振興策や教育をやれば結果は出るんですね。
もちろん、外資参入で輸出で産業振興という日本などアジアでの定番の手法です。
モーリシャスなどは、島国ですので、水運が使えたのは大きいですね。
■実は日本は中世・近代の初期の時代は資源大国でした。
大量に資源を消費する現代の基準では、日本は資源はないのですが、中世・近代の初期の基準では、多種多様な素材が得られる資源大国でした。
この辺は、石見銀山の話を調べるとわかると思います。
戦前は石炭社会でしたので、どうしても輸入しなくてはいけない素材は、ゴムなど一部でした(石油はサハリン、鉄鉱石は朝鮮半島で取れた)。
日本は、中国・朝鮮から知識を輸入し、プラスαすることにより、中世において生活水準・産業のレベル・種類に置いて上位の国になりました
では、アフリカはというと...微妙です。ヨーロッパ人が来たから悪化したというよりも、ヨーロッパ人が来る前から、北アフリカやインド洋沿岸のイスラム文化圏以外は微妙でした。
■沖縄・北海道はどうなの? 補助金・資源国ののろい
日本は先進工業国ですが、沖縄・北海道は微妙です。なまじ補助金があるために、地域の実力以上に賃金・通貨が上がってしまっています。
資源国は、地域の工業力の実力以上に賃金・通貨が上がってしまい、輸出産業の発展が遅れたりします。日本は逆資源国の呪いですね。
資源国の場合、富の源が人間の活動ではなく、土地と土地の下の資源になります。
その結果、恐ろしいことに人間軽視になります。
人材をコツコツ真面目に、育てる必要をあまり感じません。土地を所有して、外資なりなんなりに、開発させて多額の手数料を取れば、楽にもうかります。
富の源泉は、人間ではありませんので、富を国民に渡す必要性もありません。彼らの協力がなくても、資源採掘労働者の協力さえ得れれば良いのです。
多くの人に分ければ分けるほど、手取りが減ります。そうなると、独裁の方が手取りが良いわけです。
結果資源をめぐる戦争が起きるわけです。
とは言っても、カナダとか、オーストラリアは資源国ですが資源戦争は起きていません。政府と国民の質に問題がある訳です。アフリカの場合、独裁者を倒しても、その人たちが別の独裁者になるわけですから...
■いつかは良くなると思います。
暗い話ばかりでしたが、人間は良いほうへも悪いほうへも変化します。
南アフリカのエリアは、ジンバブエという失敗国家もありますが、徐々に成長している。
ボツアナ、アンゴラ、ナミビアはかなりの水準。
やはり、南アフリカというそれなりの手本があるからだろうか。ビジネスのやり方や社会制度を相当学んでいると思われる。
結局、自分たちが学び成長しないと駄目なのだろう。
まぁ、いつかは良くなると思います。