私が関心を持った理由は、ダイアモンド?の記事で、
「国際法が憲法に勝るのが世界の常識 集団自衛権は憲法違反の大間違い」と櫻井よしこさんが書いていたから。
ネットにもそんな記事がありました。
しかし、この話を聞いて、漠然とした疑問が。
もし、国際法・条約>憲法だったら、憲法を死文化できてしまう。
日本国憲法もアメリカ憲法も、変更が難しい憲法(国民選挙や
州政府の承認が居る)ですが、条約は結ぶことはそこまで難しくない。
システムと考えた場合、明らかにバランスがおかしい。
【説】
世の中にはいろんな説があります、
憲法>国際法・条約>法律
という説もあれば、
国際法・条約>憲法>法律
憲法=国際法・条約>法律
との説があります。
国内では、「憲法>国際法・条約>法律」の憲法や法律の学者さんが一番多いとの説があります。
対して、
国際的には、憲法より国際法を優先が通説、「国際法・条約>憲法>法律」が通説との説が、ネットにありますが・・・・・
ネットの情報ですからね。
私は法律の専門家ではないので、どれが通説化なんてものは、判りません。
そのため、実際の海外の国のオペレーション(運用)では、どうなのかを軽く調べてみました。
【結論】
国ごとに違う。
早い話が、国際法学者の理論や理屈で、各国の運用が行われているわけではないのだ。
国際法学者の中で、「国際法>憲法」が多数派だろうとなかろうと。
各国の運用は、各国の法律とその解釈により運用されていると言う当たり前の結論だ。
■イギリス
大前提として、イギリスに憲法はありません。
「憲法>国際法・条約>法律」か「国際法・条約>憲法>法律」なんて、国内向けの議論はありません。
イギリスでは2010年?の法律制定で事情が大きく変わったみたいです。
早い話が、条約を結んだだけでは、国内に影響力を持ちません。
条約を国内で有効にするためには、条約の国内法化をしないといけません。
慣習的に後の法律が前の法律よりも優先なので、条約の国内法化すれば、過去の法律と矛盾してもそちらが優先になります。
■アメリカ
アメリカ憲法では、連邦憲法、連邦法、条約>州の法律 であることは明記されているのですが、「連邦憲法、連邦法、条約」の順序ははっきりしません。
そこで、判例の登場となります。
HEAD MONEY CASE という判決で、連邦法と条約は同等、連邦法=条約との判例が出ているそうです。
「憲法>法律」ですので、「連邦憲法>連邦法律=国際法・条約」
判り易くしますと「連邦憲法>国際法・条約」
なぜ、そうなのか?
いろいろと理由はありますが、アメリカの国益を理由に、アメリカ政府が国際法を無視・違反することを容認しているんですね。
だけれども、アメリカ政府が、アメリカ憲法を違反することは許さない。
■フランス
憲法により、「国際法・条約>法律」と明記されているみたいです。
第55条 条約は法律に対して優位の効力を持つ。
みたいな感じ。
(この辺は非常に怪しいので、あまり信じない様に)
ただし、無条件に「国際法・条約>法律」ではなく、各種の条件があり、合憲じゃないといけないみたいです。
つまり、 条約を利用して、憲法の無力化は出来ない。
■その他
憲法と同等の効力を認める国としては、オーストリア(「国際法・条約=憲法」)。
ただし、憲法改正と同様のプロセスで締結された条約のみだそうです。
憲法よりも優先する国としては、オランダがあります(「国際法・条約>憲法」)。
ただし、こちらも憲法改正と同様のプロセスで締結された条約のみだそうです。
【結論2】
もし、国際法・条約>憲法だったら、憲法を死文化できてしまう。
システムと考えた場合、明らかにバランスがおかしいの実際どうだろうと思い調べてみたのですが・・・・・
まぁ、どこの憲法・法律の運用も、いろいろと細工をしてバランス取りをしているんですね。
さて・・・・
その判断は、ここにお任せいたします。
どうにも、「国際法>憲法」と主張している人たちは、このたびの集団的自衛権を合法だと主張している人たちなんですよね。
「国際法>憲法」とすることにより、条約を結んで憲法を死文化させることを目的の様です。
どこの国も、憲法・法律を死文化させないように工夫しているのに。
不思議ですね。
正直言って、彼らの手法にはうんざりします。
国内は時代遅れの憲法学者のせいで、憲法>条約・国際法だけど、国際的には国際法・条約優先だよ、と一般の人が調べないことを良いことに、嘘の垂れ流しです。