フランス憲法第89条の無視して行けない文 〜憲法改正要件

 読売新聞を読んだら、憲法改正反対派は硬性憲法(改正のハードルが高い)のアメリカを例に出すけど、
 議会の半分と国民投票の半分で改正できるフランス憲法の例は出さないと書いてあった。


 アメリ憲法を修正するためには、ハードルは確かに高い。

連邦議会は、両議院の三分の二が必要と認める時は、この憲法に対する修正を発議し、または全州の三分の二の議会の請求がある時は、修正発議のための憲法会議を招集しなくてはならない。
いずれの場合でも、修正は、全州の四分の三の議会によって承認されるか、または四分の三の州における憲法会議によって承認される時は、あらゆる意味において、この憲法の一部として効力を有する。いずれの承認方法を採るかは、連邦議会が提案することができる。
ただし、一八〇八年以前に行われる修正によって、第一条第九節第一項および第四項の規定に変更を及ぼすことはできない。また、いずれの州もその同意なくして、上院における平等の投票権を奪われることはない。

 出典wiki:憲法改正


 対して、フランス憲法の改正は、一見、アメリカよりもハードルは低い。

フランス共和国憲法の改正手続はフランス共和国憲法第89条に規定されており、概要は以下の通りである。
政府又は議会が憲法改正案を提案する。
憲法改正案を上下両院で過半数の賛成で可決する。
両院合同会議で5分の3以上の賛成(政府提案の場合のみ)または国民投票で有効投票の過半数の賛成を得て改正案が成立する。

出典wiki:憲法改正


しかし、憲法89条には、別の1文がちょこっとある。
 日本語の文が見つからなかったので、英語の文になります。
(日本のネットって、いろいろあるようで、フランス憲法の訳もないんだから)

 英語訳はこちらを参考にしました。たぶん、フランス憲法だよね。
http://www.conseil-constitutionnel.fr/conseil-constitutionnel/root/bank_mm/anglais/constiution_anglais_juillet2008.pdf

The republican form of government shall not be the object of any amendment.

 日本語に訳すと、共和国政体は、変更の対象にしてはならないと言う意味みたいです。


 つまり、改正して良いものと悪い文ものがあるということです。


 読売新聞とかは、そういうことを出さないので意図的に隠していますね。
 東京新聞とかの方が、まだ、情報を全部出すと言う点で、どうどうとしている、フェアと言えるでしょう。


 基本的に、一見、改正が容易な憲法って制限があるんですね。


 対して日本やアメリカには、そのような制限が憲法に書いてない。


 一見、改正が頻繁に行われているドイツ憲法は、基本部分を変更できないようになっています。


 基本的人権は、変更できないんです。
 拡張はできるみたいですけど。


 読売新聞の案のように基本的人権の縮小はできない。


 フランスは戦後、第四共和制になりましたが、その後憲法を改造して第五共和制になりました。
 しかし、フランスでも、基本的に人権に関する条文に関しては手を付けていない。
 というか、そもそもほとんど記載がない。「1789年宣言」を元にしてねと言う感じ。
 第4も第5も、ほとんど基本的人権は、男女同権など拡張目的の追加程度。

 
 そりゃそうですよね。
 判例とか全部パーになってしまうから。
 一から作り直すとなると、実質それだけで人権の不安定化、権利はく奪状態ですから。


 本当に、改正が容易な憲法と言うと、言葉的には矛盾しますが、そもそも憲法がないイギリスぐらいではないでしょうか?


 アメリカは憲法改正のハードルが高い。
 それでも改正が実現できるは、充分な議論をして共和党民主党の党派を超えて改正の必要性が共有されているからでしょう。
 憲法改正は、与党が一方的によりきるものじゃない。


 そりゃ、そうでしょうね。
 50%程度の与党と与党の支持者だけで、がんがん憲法を改正出来たら、それこそ多数派の暴力ですし、国を割ってしまいますから。
 67%を超えますと、圧倒的な多数ですので、国を割る状態にはならないわけです。
 もっとも、今の衆院議員は4割強の得票率で議席数の6割以上取れるので、とんでもない状態ですが・・・・