自民党憲法草案のかなり致命的な問題点 〜公の秩序

 私は憲法や法律の専門家ではないのですが・・・・かなりヤバイ内容ですね。


 憲法9条維持派VS改憲派になって焦点が、憲法9条だけになっています。
 しかし、本来の問題点は、そんなところじゃないんですよ。
 危ない点が、満載なんです。


⬛  権利の制限。
 現行の憲法でも、理由があれば権利は制限されます。
 「公共の福祉」ですね。
 公共の福祉とは何か、面倒臭いのですが、とりあえず「皆の幸せ」と考えましょう。
 個人の利益よりも、皆の幸せ「公共の福祉」が優先されます。


 現状でも、犯罪者の権利は制限されます。
 テロや暴動は取り締まることは可能です。
 なぜなら、皆の幸せが優先されるからです。
 

 自民党憲法案では、「公益及び公の秩序」と言葉が変わっています。
 問題は「及び公の秩序」という点です。


 恥ずかしいぐらい酷い絵ですが・・・・


 ようするに、この記述ですと、公益を含んでいない「公の秩序」(青い部分)でも権利が制限されてしまうんですね。


 公益以外でもOK。
 つまり、私益でOKということなんです。

 
 個人的には、公益だけで良いんじゃないの?と思っています。



 そして、「公の秩序」というのが何を指すかすら不明です。


 保守系の人たちは、自由なファッションに対して風紀を乱す・秩序を乱すと言って反対しますよね。
 新ビジネスに対しても、業界の秩序を乱すと言って反対します。


 思想に対してもそうです。
 自分たちの思想と異なる存在を秩序を乱す存在として敵視します。

 でも、現在の法律では取り締まりできないんですよ。
 「公共の福祉」や「公益」に反してないので。
 でも、今後はできるようになるんです。 
 秩序維持自身が目的化するので。


 はっきり言って、こんな条文があったら個人の権利なんて消滅ですよ。


 ここから先は少し極端ですが・・・・


 日本は1000年以上仏教兼神道国家だったんですよ。
 ところが、明治維新以降、仏教は外国から来たものであり、純粋な日本・本来の日本ではないと言って、仏教を排除しようとしたんですよ。そして、神社中心の国家を作ろうとした過去があります。


 この発想を現在の日本に当てはめたらどうなるのか?
 彼らは度々、日本を取り戻すとか言っていますよね。
 現状の異文化が入っている状態そのものを、本来の日本から乖離した状態、公の乱れた状態と解釈して、変なことをするかもしれません。


 考えすぎのように、思われるかもしれませんが。
 近頃、神社に憲法改正推進の看板が出てるんですよ。


 なんで神社が・・・と思ったのですが、結局、憲法改正の真の目的は、戦前回帰・神社勢力の復権なんじゃないの? と思えてしまいます。
(別の機会に書きますが、他の条文の変更を見ると、良くわかります)


 自民党の人たちは、「公共の福祉」という言葉がわかりづらいので、お着替えした。
 内容は変わりませんよみたいなことを言っていたのですが・・・
 要するに解釈をちゃんと説明しないんですよ。


 だったら、文言を変えるなよ という感じです。
 下手な変更は不安定化を引き起こします。

 
 フランスの人権に関する条文は、昔のものの使い回しです。
 ドイツでも、アメリカでも、人権に関する条文は、非常に慎重です。


 江戸時代に慣習的に認められていた権利が、
 明治時代に憲法を制定したことにより、剥奪されたことがありました。


 下手な変更はしない。変える時は慎重に。
 それこそが真の保守というものです。