映画『進撃の巨人  ATTACK ON TITAN』感想:ネタバレレビュー 〜勇気はあるけど知恵はなし

 原作漫画を読み、アニメも見たのですが・・・


 いや〜、進撃の巨人。酷かったな。
 巨人による残虐シーンとか頑張っていたと思う。


 しかし、それ以外が酷過ぎる。


 最初の数分で嫌な予感がした。
 演技が微妙というのもありますが・・・・
 最初に思ったのが、自動車って存在したっけ? 移動手段は馬じゃなかったかな?
 と思った。


 恐らく、馬はお金がかかるので無理だったんでしょう。


 その後、爆弾の描写。


 火薬は存在したけど、爆弾ってどういうこと?


 進撃の巨人って、近未来の地球だっけ?


 漫画・アニメだと白人社会なのに、日本人キャストなのである程度は、設定を変えることは覚悟していたのですが・・・・
 あまりにも設定変更あり過ぎです。


 問題は、原作持ちの作品なのに、原作を知っていると満足度が大幅に下がると言う点です。


 この手の映画って、第1のお客は原作のファンのはずなんですけど・・・・原作ファンになればなるほどつまらない。


 馬の件とか、人種の問題とか、予算の都合などなどがあるでしょうが・・・
 意味のない変更が多すぎます。


 人間関係の変更や動機の変更。
 意味のない恋愛要素。セックス的なシーン。


 その変更の理由を、監督は述べています。

いちばん大きく変えたのは、エレンの(巨人に立ち向かっていく)動機でした。目の前で母親が食べられてしまったというのでは、男として弱い気がしたんです。母親が殺された復讐を果たせたら、それでいいのかよ? って(笑)。もう少し、彼に負わせる十字架を重たくしたかった。何を失えば、エレンはいちばん不幸なんだろう? と諫山さんや(脚本を担当した)町山(智浩)さんと話したときに、ミカサ(水原希子)じゃないの? ということになった。自分の手から取りこぼし、奪われてしまったミカサを、どうやって取り返すかという物語にしていこうと。エレンにとって、何が地獄で、何が幸福か? というところから、物語をもう1回組み立て直していくなかで、エレンを取り巻く人間関係も作り直していきました。

出典:http://www.oricon.co.jp/special/48137/


 う〜ん、家族を殺されるって、かなり強力な動機だと思うけどな・・・
 否定した挙句、代わりがもっとしょぼいという改悪。


 あと、動機に関して言うと、エレンの行動の動機は二つある。
 復習と、外の世界(鳥かごの外)へに行くこと。
 外の世界に行くことは、好奇心冒険心、いろいろあるけど、抑圧からの解放、自由への渇望なのかもしれない。


 この動機があるから、エレンの言葉と行動は他人への影響力を持つ。
 恋愛じゃ無理。


 戦闘シーンも、立体起動がビックリするほど活躍しない。
 なぜか、斧で足の腱を切ったり、投げたりする方がインパクトが大きい。
 立体起動自体、新兵器的な設定に変更。
 意味があるのだろうか?
 これも予算的制約だろうか。


 今の時代、セットを作ると金がかかるから、CGの合成が多い。
 それを使えば、立体起動も難しくないでしょという気もしなくはない。
 軍艦島の方が安い?
 でも、迫力・爽快感がなければ意味がない。



【ストーリー展開のアニメ版との比較】
 オープニングはかなり似ている。
 しかし、意味合いはかなり違う。


 アニメは倒置法。最初に、静かに鳥が飛んでいる光景。
 その後、超巨大巨人。
 さらに、シーンが変わり、立体起動。


 最初の1分で一気にテンションを上げる。


 その後、時間は戻り、静かなシーンへ(エレンがミカサに起こされるシーン)。


 映画は、このシーンから始まる。


 平和ボケ知っている点は変わらないけど、アニメは巨人は怖いけど壁があるから安心。映画では巨人そのものに百年あっていない。

 アニメは、その後20分近く人物紹介と社会の説明。これだけで20分くらい。ファンじゃない人には、このくらい必要。
 

 だるいけど、平穏な日常を描くから平穏な世界の崩壊というインパクトを与えられる。
 

 その後、超大型巨人とその侵入、母親が虐殺されるのを描いて1話終了。
 

 対して映画版は、街の虐殺が中心。


 エレンが戦う理由、強くなりたい理由は、母を見捨てて逃げたから生き残れたから。弱いから逃げた。弱いから母さんを助けられなかった。
 そして、第2話により、少年少女たちの覚悟と関係が明確になる。

 映画版では、非常に曖昧。
 そもそも、3人組自体がほとんど機能していない。


 まぁ、いろいろと言いたいことはありますが・・・映画の短さ(98分)はあまり理由にならない。
 98分と言えば、アニメ5話分の時間です。


 で、映画はどこまで進むかと言うと・・・壁の外に行って巨人と対決して、エレンが食われて巨人になってお終い。
 つまり、5話+α程度。
 アニメは人間関係とか避難・訓練シーンとかで時間を使っているのに、進展具合は大差なし。


 恋愛要素とか、だらだらしたのを入れたから、時間を浪費している。
 それだけではない。
 残虐シーンに時間を取られすぎているのだ。


 進撃の巨人の魅力=残虐シーンとでも思っているのだろうか?
 その結果、アクションとストーリー展開、キャラ描写が非常に手抜きになっている。


進撃の巨人の人気の原因・面白さの原因は?】

 進撃の巨人が人気になった理由はいろいろとあると思います。


・謎
・感情移入したキャラが簡単死ぬ、残酷な死
・サバイバル要素
・立体軌道によるハイスピード・立体的な魅力的なアクション
・キャラクターの魅力
・知恵と勇気による困難の克服
などなど


 構成上の特徴としては、戦闘シーンの多さでしょうか。
 特にアニメの場合は顕著ですね。


 私のイメージでは、戦闘作戦進行中にストーリーが進んでいく感じでしょうか。
(正確ではありませんが・・・)


 それらの長所をバッサリと切っていますね。


 戦闘も、ちょぼっ。ちょぼって、感じで立体軌道のシーンもほとんどなし。


 お客さんが見たいのは、セックス? キスシーン? 違うでしょ。


 こういうのを見ると、本当に日本のアニメとハリウッドは偉大だと思う。