H3ロケットを1900億円の開発費を投入して、開発するそうです。
日本は90年代〜2000年代、H2の開発に2750億円、H2A開発(1520億円)やH2B開発(270億円)にかけているそうですが、さらに大型のH3をラインナップに加えるみたいですね。
H3ロケットの開発上のコンセプト上の問題点は、こちらのサイトに非常に上手にまとめられているます。
http://ysaki777.iza.ne.jp/blog/entry/2120944/
私はこの方以上に上手に各自信がないので、こちらのサイトをご覧になってください。
さて、日本のコンセプトと対照的なのが、世界1、2のロケット大国であるロシアです。
現在のロシアには、ソユーズロケット(R7シリーズ)、プロトンロケットなどがあります。
ソユーズロケットは、2013年において、スペースシャトルが引退した今、国際宇宙ステーションと行き来する世界で唯一の有人ロケットです。
(まぁ、有人ロケットは中国もありますが)
さて、ロシアのロケット、基本設計が非常に古い。
ソユーズロケット(R7シリーズ)に至っては、初打ち上げは1957年あたり、世界初の人工衛星スプートニクに使われたロケットです。
H2の一号機が1994年、H2Aの1号機が打ち上げが2001年なのと比較しますと古さを感じます。
【なぜロシアはなぜ古いロケットを使うのか】
新しいロケットを開発する金がないというのも理由の一つですが・・・・
・ロシア人の思考 ロシア人の思考として、上手く行っているのを変える必要性がないという思考があるそうです。
現状のソユーズロケットには、大きな問題点がないので、代える必要性がないじゃないというわけです。
とは言っても、ソユーズロケットはまったく改良していないわけではないようです。
問題が発見されれば、改良し、信頼度を上げています。
電子部品などの電子系も改良しているそうです。
ちょびっと、ちょびっと地道に改良しているんですね。
・高いコストパフォーマンス
ソユーズロケットは長い間生産されていますので、打ち上げ回数も1700回を超えているそうです。
それだけ打ち上げられますと、量産効果によりコストダウンが進みます。
・高い信頼性
長い間使われていて、多くの改良がくわえられているので信頼性が高い。
有人ロケットの場合、コストパフォーマンスもさることながら、信頼性が重要です。
・予定通りの打ち上げ・天気に強い
もともとがICBMのためか、非常に丈夫。晴天じゃなくても打ち上げ可能とのことです。
スペースシャトルがフロリダという立地との相乗効果で打ち上げ延期が多かったのに対して、ほぼ予定通りの打ち上げが多かったそうです。
スペースシャトルの事故は、単純に設計ミスというよりも、天候との組み合わせで発生しているので、天候への強さは意外と重要なのかもしれません。
(無理に打ち上げないのが一番ですが)
ロシアのロケットは、古い設計・コンセプトながらも、安い、高信頼を実現させているわけです。
【ヨーロッパで使われるソユーズロケット】
ヨーロッパのアリアンスペース社は、中型ロケットとしてソユーズロケットを使い始めています。
アリアンスペース社は、大型ロケットをもっているのですが、コスト競争力がある中型ロケットがないためです。
開発を諦めるのは、ずいぶん大胆な話ですが、実益を取ったと言うことでしょう。
【H3は有人ロケットに使えるか?】
能力的には十分可能。
というか能力的には、H2AとH2Bで十分可能。ソユーズロケットなんて、H2Bの半分しか能力がない。
打ち上げ性能で言いますと、H2B > H2A > ソユーズロケットだったりします。
ただし、有人ロケットに必要なのは、信頼性つまり打ち上げ回数です。
じゃあ、十分な回数の打ち上げ回数を稼げるのか?
というのが問題です。
大型ロケット市場は競争が激しく、打ち上げ回数を受注できるか難しいものがあります。
信頼性が低くて、有人ロケットには当分の間使えないと言うのが現実的でしょう
もっとも、さらに10年経ったら、コストダウン目的でH4を開発するので、また1から出直しかな。
いつまで経っても、有人ロケットに必要な信頼性を稼げない。なんて、オチが・・・
【個人的には、H3よりも有人ロケットを】
個人的には、H3ロケット開発に、1900億円使うよりも、そのお金を使いH2BなりH2Aで有人ロケットの方が夢があると思う。
H2Bは「こうのとり」で打ち上げ実績が増えるだろうし。
H2Aもあと数回打ち上げれば、有人可能レベルになりそうな気がする。
H3ロケットの開発は、有人ロケット開発を進めるどころか、後退させるものとなるのかな。
良く開発体制維持のために、常に開発することが必要と言いH3ロケットの開発推進を進める人が居る。
これも一理ありなのですが。
ある程度の回数、ロケットを打ち上げないと生産体制が維持できない。
開発費にお金を回した結果、ロケットを打ち上げできず、その結果、生産体制を維持できないとなると、それはそれで本末転倒だったりする。
【信頼性が一番大事】 2014年1月23日追記
有人ロケットじゃないですが、人工衛星の打ち上げでは信頼性が重要です。
なぜなら、人工衛星自身が一品物が多いから。
そして、バカみたいに高い。
大型人工衛星だと、一台300億円〜500億円くらいするらしい。
そして、製作年数も2年〜5年かかったりするらしい。
一品物で、失敗したら、次打ち上げるのは、2〜3年後・・・なんてなりかねない。
というわけで、ロケットの値段が120億円か80億円かの差、40億円は大きいけど、トータル打ち上げ費用を考えると1割ぐらいの差でしかない。
一品物はロケットの値段が多少高くても、信頼性第一の場合が多い。
【H3開発決定?】
一回の打ち上げが・・・50億円〜60億円。
う〜ん、出来るのかな?
役所の十八番で。
どうしてもやりたいものは、低く見積もって、その後、金額が増加すると言うのがあります。
結局、出来ませんでした・・・となっても、誰も責任とらなくて良いしね。取り用もないし。
H2Aのコスト構造の詳細を知らないので何とも言えないのですが。
部品点数を半分以下に減らすくらいのことをしないといけない。
アメリカのファルコン9の例があるので、不可能じゃないけど、かなり発想の転換をしないといけないでしょうね。
「2基の主エンジンと最大6本の固体ロケットブースターを搭載し、多様な人工衛星の打ち上げに対応できるようにする。」
じぜんに、文部省にコンセプトを決められるのは、コスト削減の邪魔でしかない。
2基にするか、4基にするか、1基にするか、液体だけなのか、固形も使うのか、文部省が先に決めるのではなく。
コストとにらみ合いで、もう少し後で決めることだと思う。
ファルコン9は液体ロケットでエンジンが9基。
同じものをたくさん作って、コスト削減を狙っている。
また開発費削減も狙っている。
そして、固形ロケットは使っていない。そっちの方が安いと判断したのでしょう。
アンタレスロケットなんて、アメリカ産であることすらこだわっていない。
旧ソ連製の部品を使いまくりでコスト削減。
コスト削減とは民間に任せるとはこういうことなんだけど、たぶんここまで割り切れないだろうな。