日銀が、景気や物価の見通しを示す「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」ですが・・・
どうにも、分析をして、予測をする展望レポートから、願望を書くレポートになったみたいですね。
私は日銀の専門家ではないのですが、今回の変化には組織としての潜在的な危うさを感じます。
【ページ数の減少と内容の変化】
19ページから8ページと半分の量になっています。前のものは、だらだらと長かった面もありますが・・・
大幅に分量が減っています。
なぜでしょうか?
書き方が、大幅に変化したためです。
そして、書き方が変わったのは、日銀のスタンスが変わったためですが。
2013年4月(基本的見解)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1304a.pdf
2012年10月(基本的見解)
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1210a.pdf
昔は、アメリカなど海外や市況などの状況の説明文をかなり書いていたのですが、
今回は、その辺はだいぶ軽くなっています。
以前は、環境がこう変わるから、こうなるでしょうと言うことを書く予測でしたが。
しかし、今回のレポートは、その辺がだいぶカットされて、変わっています。
現状は、政府が関与して、市況を作るから関係ないと言うスタンスでしょうか?
(これは言い過ぎか)
私以外にも、似たようなことを感じている人が居るんですね。
oasismathの日記
日銀展望レポートは大きく変化したが。。。
http://oasismath.hatenablog.com/entry/2013/04/27/085540
oasismathさんは、以下のように書かれていますが・・・
まさにおっしゃる通り。
経済や物価動向は市場が決定するのか、あるいは政府によってコントロール可能かという正反対のスタンスが感じられる。この違いは最後の一文に端的に現れている。
2012年10月:「日本銀行としては、引き続き適切な金融政策運営に努めるとともに、国際金融資本市場の状況を十分注視し、わが国の金融システムの安定確保に万全を期していく方針である。」
2013年4月:
「金融政策運営は、実体経済や金融市場に表れ始めた前向きな動きを後押しするとともに、高まりつつある予想物価上昇率を上昇させ、日本経済を、15 年近く続いたデフレからの脱却に導くものと考えている。」
市場をコントロールするという大それた考え方は非常に危ういと感じているが、既に現総裁がこのような判断をしている以上、成功することを切に願っている
市場に影響力を行使することは可能ですが、市場をコントロールできると言う考え方は、非常に危険な感じがします。
たとえできたとしても、大きく市場を歪めるわけで、
日本は、市場経済から社会主義のような統制経済に変わってしまったのかのような印象です。
【良い傾向ではない】
日銀の分析は、金融機関などに大きな影響を与え、指標になるのに、
現状分析する前に、結果が決まっていて、それを展望というのは、ちょっとまずいでしょ。
それは、分析ではないし、展望ではない。
単なる願望だ。
分析や予測を、願望に合わせて歪めるのは、駄目組織の典型例。
短期的には、上手く行くことがあるかもしれないけど、中長期的には必ず組織を腐敗させる。
世の中には、真面目な役人も居て、このようなやり方に異議を唱える人は、要ると思う。
でも、現状では、そういう人は、冷遇され、YESマンだけが幅を利かせるようになるでしょう。
そして、真面目な人が辞め始める。
分析は分析で、やはり組織は分けないといけない気がする。