JR東日本の財務から考える 〜ローカル線の運賃はなぜ高いのか?

 利用者が少なくて赤字だから。以上。
 正しいけど。それじゃ面白くないので、別の見方を。


 別にJR東日本は、ローカル線だから追加料金ということはやっていませんが。
 特に割引もやっていない。
 都心部で民間の鉄道と競合があるところは、割引しているので、そう感じてしまうのかもしれないけど。
 旅行だと長距離の乗りがちなので余計高く感じてしまう。


 とりあえず、第1四半期(4.1〜6.30)の財務指標。
http://www.jreast.co.jp/investor/financial/2013/pdf/quarter1_02.pdf


運送業の売上(バス含む)、4,506億円
営業費用、3542億円
営業利益、964億円


  鉄道輸送量(百万人キロ)鉄道運輸収入(億円)収入/輸送量(円/人キロ
新幹線定期4275713
定期外4,3721,10025
4,8001,15824
在来線定期18,5861,1806
定期外8,9171,77220
27,5032,95311
関東定期17,7291,1316.3
定期外8,2791,64619.9
26,0092,77810.7
関東外定期856485.6
定期外63712619.8
1,49317411.7

(注)「関東圏」とは、当社東京支社、横浜支社、八王子支社、大宮支社、高崎支社、水戸支社および千葉支社管内の範囲


関東外の売上が174億円に対して、JR東日本の利益は964億円。
つまり・・・・
関東以外のローカル線を無料にしても、JR東日本は営業利益が790億円出る。


さすがにそれをしたら、高い料金を払う関東の人が怒るけどね。
非常に歪んだ表現をしますと、株主と関東の人が怒らなければ、ローカル線は激安、無料にすらできる。


実のところ、距離単価が非常に高い新幹線さえ利用してもらえれば、ローカル線無料、乗り放題でも良いような気がする。


【分析】
 基本的に鉄道会社の収入源は、定期外が定期より多かったりします。
 輸送量は、定期の半分なのに、収入は定期外の方が大きいのですから。 
 1キロあたりの価格の高さを見ますと、特急だと思います。
 学割定期なんて、半額ですからね。定期のキロ当たりの価格は、3倍差ですから。
 関東外に至っては、3.5倍差があります。
 これは、関東外の方が学割定期の比率が高く、そのためキロ当たりの価格が安くなっているためと思われます。


 非常に変な話ですが、地方のローカル線は高く感じますが、学割が多いので、キロ当たりの単価は関東よりも安くなってしまう。
 旅行者から見たら高いけど、鉄道会社から見れば、それ程キロ当たりの単価は高くない。
 

 まぁ、第三セクターになりますと、JRよりも大幅に価格が上がりますが。