GLOBALFOUNDRIES (グローバルファウンドリーズ)。知っている方は少ないと思いますが、倒産したエルピーダの提携相手・買収相手として出てきた会社です。
この会社は、ファウンドリという半導体製造専門の下請け会社なので、一般の人が会社名の付いた製品を見ることはまずありません。
もっとも、名前が知られていないは、それが原因なだけではなく、設立が2009年とつい最近なのも原因です。
組織構成はAMDから分社化された半導体製造部門と、2010年1月13日に合併したチャータード・セミコンダクターからなっています。
もともとは、インテルのライバルで一部の人には有名なCPUメーカーのAMD。の半導体製造部門が分社化されたものです。
AMDが特に悪いわけではないのですが、相手は凄まじい資金力と技術力を持つ化け物のインテルです。
インテルに負けて、AMDは赤字を出していましたので、分社化されてしまいました。
ハッキリ言って、負け組です。
正直、ファウンドリとして、上手く行くか私は疑問に思っていました。いままで自社(AMD)しか相手にしていない会社が急に他社に販売しようとしても、上手く行かないのではないかと。
主にAMD(ATI)社のCPU、GPU、チップセットを製造しており、分社前とあまり変わっていない気がしました。
しかし、劇的な変化が訪れます。
大きな転機は、巨額のオイルマネーを持つアラブ首長国連邦のアブダビ首長国が所有する投資会社ATICによる出資です。
お金と言うトンデモナイ武器が手に入りました。
そして、ATICがシンガポールに本社を置く世界第3位のファウンドリであるチャータード・セミコンダクター社を買収し、合併することにより世界第2位のファウンドリ会社が瞬く間に誕生しました。
当時、ファウンドリの世界は、台湾のTSMCが圧倒的な1位。離されて2位に同じく台湾のUMC。3位にチャータードとなっていました。
TSMCが多額の利益を上げているのに対して、チャータードは赤字を出すなど、負け組。脱落直前でした。
しかし、合併により売上規模で2位に。
旧AMDから見れば、チャータードの既存顧客(販売チャネル)を得ることができました。
チャータードから見れば旧AMDの技術・最新鋭生産設備を手に入れたことができました。
負け組と負け組を足すことにより、上手く相手の弱点を補っている巧妙な合併だと思います。
金を持っていて頭が良い相手には勝てる気がしません。
【今後の業界とライバルとの対決】
はっきり言って、インテルの資金力・技術力はぶっちぎりです。一社では敵いません。
そのため、各会社はアライアンスを組んでインテルとの対抗を考えました。
IBMを中心とした、東芝、ルネサス エレクトロニクス、サムスン電子、インフィニオン・テクノロジーズ、フリースケール・セミコンダクタ、STマイクロエレクトロニクス、AMDによって構成される半導体製造における共通プラットフォーム・アライアンス(Common Platform alliance)です。
特に、IBMとAMDは関係が深いような気がします。
今後の半導体業界は、インテルとTSMC,サムソン、GLOBALFOUNDRIES・IBM連合の4極を中心に進んでいくと考えるのは、考えすぎでしょうか。
【なぜエルピーダを欲しがったのか?】
エルピーダの技術・生産設備が手に入るだけではなく、メモリという製品ラインナップが拡大します。
サムソンがフルラインナップの強みを生かして、製品を提供しているので、スマホや携帯のことを考えますと、メモリ・フラッシュも欲しいということになるのかもしれません。
また、日本政府に恩を売れますし。工場を立てるのに消極的な日本企業との関係を強化して、仕事を得ることも考えられます。
【負け組からの復活】
STマイクロエレクトロニクスと良い、GLOBALFOUNDRIESと良い。
負け組+負け組=勝ち組という計算式を作りだす手法は、見ていて面白いですね。
エルピーダだって、ルネサスだって、「負け組+負け組」ですが・・・
弱点の補間、劇的な変化という要素がなく、面白みに欠ける感じでしょうか。
同質なものどうしを集めても、あまり創造性がないと言うことなのでしょう。
PS
今後の日本は、どうなるんでしょうか?
①再編して5極になる
②ファブレス化を推進して、GLOBALFOUNDRIES派とTSMC派に別れる
③まったりと消える