パナソニックの半導体事業縮小 〜日本半導体衰退の原因
パナソニックが半導体事業を大幅縮小するニュースがだいぶ前に出ました。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD230PQ_T21C13A0MM8000/
日本の半導体が衰退した原因は、いろいろとありますが・・・パナソニックの半導体事業部というものも、日本の半導体の衰退と関係があります。
【90年代後半に何が考えられていたのか?】
パナソニックやソニーは、90年代、世界的な大企業でした。
何兆円もの売上を持ち、半導体メーカーから半導体を何千億円も買っていました。
今でこそ、1工場に2000億円〜4000億円かかりますが。
当時は100億円〜200億円あれば最先端工場を持てたので、
パナソニックやソニーは考えました。
「他者から買わなくても、自分で作れば、その分売上アップするじゃん」
それに、独自の半導体チップを持てば、「他者との差別化になるじゃん」と。
90年代、パナソニックとソニーは半導体産業に、本格的に大規模に参入。
ソニーはPS2のCELLなど自社工場の半導体でブイブイ言わせようとしました。
その一方で、日本の半導体メーカーは、大口顧客を失ったのでした・・・・
【なぜ、ファブレスじゃないのか】
わざわざ工場持たなくても、ファブレスで良いじゃん。という気もしますが・・・
90年代には、ファウンドリー・ファブレスというビジネスモデルが成長を始めました。
しかし、当時は、今とは比べ物にならない程小規模でした。
また、当時、大企業の多くは、ファブレスは一時的ななビジネスモデルだと考えていました。
ファウンドリー・ファブレスというビジネスモデルは、設計と製造の分離が特徴なのですが。
当時の人たちの多く(大企業)は、微細加工が進むにつれて、設計と製造のすりあわせがより重要になると考えたわけです。
「日本の強みは、擦り合わせ〜」は、十八番ですね。
それが正しいかは別として・・・
もっとも、日本の大企業だけではなく、インテルなどの海外メーカーもそう考えていたみたいですが・・・
(ファウンドリに否定的なインテルは今でも言っていますね。)
つまり、ファウンドリー・ファブレスというビジネスモデルは、一過性のものだと考えたわけです。
その一方で、「半導体産業への参入は、後になる程ハードルが上がるから、参入するなら、今でしょ」となった訳です。
【実際は・・・・】
少なくとも現状においては、ファウンドリ―・ファブレスのビジネスに破局は来ていません。
むしろ、全盛の状態ですね。
対して、設計・製造一体型は、ロジック系ではインテルとサムスン以外難しくなっています。
PS
以前書いた別の記事です。
日本の半導体産業衰退・敗北の単純な理由