H&M(スウェーデン)とZARA(スペイン)とFOREVER21(アメリカ)は、ファストファッションとして有名です。共通点も多いのですが、比較すると意外な違いもあります(ファッション的な違いは判りませんので、ビジネスモデル的な違いです)。
工場と物流とデザイナーです。
■H&M:売切り低価格型
H&Mは、ユニクロに近いです。大半の製品を自社のデザイナーがデザインし、世界中の安い工場で作成し、時間がかかりますが安い海運で流通させます(ユニクロの場合、中国に近いので空輸の必要はないですが...)。
■ZARA:売切り高速型
それに対して、ZARAは、工場と物流が異なります。現在、スペイン以外も増えていますが、以前はほとんどをスペインで生産して、ヨーロッパ以外への輸送には、早いですがコストがかかる空輸を比較的多く使っています
ZARAは、H&Mよりスピードを優先していると言えます。
一言、ファストファッションと言っても、店頭に商品を出すまで、ZARAはデザイン終了から1週間以内、H&Mは中国・インド・パキスタンなどから船を利用しているため、1ヵ月近くかかります(それでも半年〜1年かかる他のメーカーよりも早いですが)。
ここら辺は、以前は人件費が安く繊維産業が残っていたスペインと人件費が高く繊維産業が実質消滅しているスウェーデンという発祥地の違いが出ていると思います。
そのため、ファッションの傾向にも違いが出るみたいです。流通まで時間がかかるために比較的H&Mの方が定番、中期的トレンドをキッチリ抑える傾向があるみたいです(私にはなかなか判りませんが)。
それに対して、ZARAは流通時間が短いために、今のストリートの流行りを積極的に取り入れることが可能です。そして、売りきりですので、比較的チャレンジ的なものでも可能です。
■FOREVER21:低資本売切り高速型
それに対して、FOREVER21はSPAではありません。自社専属のデザイナーが企画するよりも、たくさんの取引先メーカーと手を組んで、商品を開発・仕入れて売るビジネスモデルが基本です。ある意味普通のビジネスモデルです(ある種、しまむらに近い)。特徴として、LA発「フォーエバー21」の場合は、地元カリフォルニア州内の工場で生産されている商品がかなりの割合を占めます。GAPのように中国から一ヶ月以上かけて運ぶわけではないので、スピードは速いと考えられます。あと、仕入れ型ですので小資本で多品種少量が可能です。
LAのあるカリフォルニアの南部は、低賃金で雇えるヒスパニックや移民が多いため、繊維産業が比較的残っています(駄目ならメキシコに工場を移せば良いわけですが)。
同じ、ファストファッションでもいろいろと違うものですね。
日本は中国やアセアンに近いため、船でも比較的早く輸送できます。H&Mやユニクロ型でも、ZARA型に近い早さが可能です(ハニーズが実はZARA型なのでしょうか。ZARAの方が全然短いけど。ハニーズは40日)。
日本で生産するのはコスト的にムリだとしても、韓国や中国に近い、福岡あたりからFOREVER21型のファストファッションが出ても良いと思うのですが...(実は、しまむらが日本の21なのだろうか)
PS
コンテナは、輸送コストは安いのですが、寄港も多く積み下ろしに時間がかかるため、香港・東京間でも7日以上かかったりします。
飛行機ですと、最短で当日・二日の世界ですので大きな違いです。