技術の傾向を読み誤りますと、経営に大きなダメージを受けます。
しかし、技術傾向を読み取るのは容易ではありません。
ぐだぐだといろいろ頭に浮かぶことを書いていきたいと思います。
【液晶とプラズマ】
2000年代、初頭のプラズマと液晶の特徴
プラズマテレビ
・大画面を作りやすい、大型化が容易
・大画面で(サイズの割に)安価
・小型化が難しい(32インチ以下)
・動画が得意
液晶テレビ
・大型化が難しい(32インチ以上)
・(サイズの割に)価格高い
・動画が不得意
そのため、プラズマテレビの製造技術を持つパナソニックは、昔、32インチ以下は液晶、32インチ以上はプラズマという棲み分けを考えていたようです。
2012年でも、この特徴は、技術的にはたぶん健在なのでしょう。
しかし、消費者の目線からは判り辛いものになっています。
液晶はすでに、大型化かしていて、32インチ、40インチは十分安くなっています。
液晶がプラズマの市場を侵食する様子は、まさにイノベーションのジレンマのように見えました。
(もっとも、少しシナリオは違いますが)
小型低価格(数千円〜数万円台)の液晶が、徐々に大型化を進め、大画面高価(十数万円〜数十万円台)なカテゴリーを侵食していきました。
結果的には、イノベーションは起きたのですが、正直、どのタイミングでイノベーションが起きたかはなかなか判り辛いもものです。
時期的には、2004年から2006年。液晶が第6世代、第7世代工場を稼働させ、32インチ以上を大量生産できるようになったあたりでしょうか。
その後、高品質高価?のテレビ用は、低品質安価のパソコン向け(兼用)に、追たてられましたが・・・
基本的に、家電などの工業製品において、低価格品から追い上げられたとき、高性能高級化に逃げて成功したためしは、ほとんどない。
【CMOSカメラとCCDカメラ】
最初は、CCDカメラが主流。
CCDカメラ
・高画質
・高価
・小型化難しい
CMOSカメラ
・低画質
・安価
・小型化容易
19900年代後半の用途
CCDカメラ
・ビデオカメラ 高級カメラ?
イノベーションのジレンマによりますと・・・安価なCMOSカメラが高画質化して、CCDカメラを駆逐するのが、パターンですが・・・
やはり、同じようなことが起きました。
きっかけは、携帯カメラとウエブカメラですね。主に携帯カメラでしょうか。
携帯カメラには、小型安価なCMOSカメラが搭載されました。その結果、大量に採用され市場が拡大。
CCDカメラの技術も取り込み、画質を向上、今ではさまざまなように使われています。
【無機ELと有機EL】
分散型無機EL
・面状発光
・フレキシブル
・安価
・低い輝度(数百cd/m2)
・低い効率
・比較的短い寿命(数千時間)
有機EL
・面状発光
・将来フレキシブル
・高価
・高い輝度(数千cd/m2)
・高い効率
・比較的長い寿命
http://junjikido.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/elel-e085.html
私は専門家ではないのですが・・・この先生の評論は当時(現在でも)正しいのでしょう。
現状では、無機ELでは照明などは作れないそうです。
そのため、照明に使うのであれば、有機が有望(というか、そもそも無機じゃ無理)だということです。
しかし、その一方で、高輝度の無機ELを作ろうとしている人がいます。
もし仮に、高輝度の無機ELが成功すれば・・・・カテゴリー訳は大きく崩れます。
シナリオとしては・・・・
①無機ELが安価差を武器に社会に出る(量産が始める)。
↓
②研究者と研究開発費が増える
↓
③少しずつ、輝度が向上する
↓
④使用できる範囲が徐々に拡大する
↓
⑤売り上げるが増える →②
そしてある時、気が付くと照明に使えるレベルになっていました。
なんてことも無きにしもあらず。
途中で、無機ELと有機ELのハイブリットみたいなものが出る可能性もあります。
有機ELよりの無機ELとか、無機ELよりの有機ELとかです。
こういうがブレークスルーになる可能性があります。
【結論】
・低価格で供給できるという点を侮ってはいけない。
・時間とともに高性能化することを忘れてはいけない。
高性能製品を生産しているところは、
・低価格を忘れてはいけない。(難しいけど)
・保険のために二股をかけることは重要(集中と選択に反するけど・・・)、
基本的に、高性能、高価な製品を作っている場合、集中と選択は非常に危険を伴う行為だ。
このことに関しては、別の機会に書いてみたいと思います。