そこそこ成功している東芝REGZAと火だるまのシャープの差はどこで生まれた

 ソニーパナソニック、シャープ、みな火だるまの中で、頑張っているのが、東芝
 なぜ、東芝は頑張っているのだろうか?


■画質
 良くシャープのパネルは、世界一だと言われる。
 では、シャープのテレビの画質は世界一だろうか?


 実のところ、シャープのテレビの画質の評価は、台湾や韓国のパネルを使っている東芝ソニーと大して違わなかったりする。むしろ、東芝ソニーの人の方が上という人も多い。


 なぜでしょうか?
 原因は、画像を作る画像エンジンや画像回路に違いがあると言われています。


 東芝ソニーの方が、画像エンジンの評判は良く。
 シャープはいまいちと言われています。
 結果、東芝の方が画質が上との評価になりました。


 以前、静止画で画面が小さいパソコンとは異なり、テレビ用は視野角度や動画能力などパネルの質が重要でした。が、現状、その点が問題になることは少なく、台湾・韓国のパネルの質が上がったので、画質は、画像エンジンに大きく左右される場合が多いのです。


 経営陣の経営戦略は、シャープと東芝では大きく異なります。
 シャープは、自社のパネルに資源を投入しました。
 対して、東芝は自社の得意な半導体、画像エンジンに資源を投入したわけです。


 この違いは、HPにも表れます。
http://www.sharp.co.jp/aquos/index.html
 シャープは、自社パネルのクアトロンを全面的に押し出しています。対して、画像エンジンは何を使っているか良く判りません(東芝の1モデル前という説があります)。すくなくとも売りにはしていませんね。


 対して、東芝
http://www.toshiba.co.jp/regza/feature/index.html#contents1
は、画像エンジンや超解像度技術を売りにしています。


 2007年頃、シャープと東芝が提携して、シャープは東芝LSI東芝はシャープのパネルを使うとの提携があったのですが・・・・
 東芝のパネルは、台湾・韓国中心ですので、なんともな話です。


■日本の消費者は何を買っていたのか?
 どうやら、テレビではなく、国産のパネルを買っていたみたいですね。


 もっとも、海外の消費者は、パネルではなくテレビを買うので、価格や画質が大きなポイントになります


 結果として、シャープと東芝。どっちの企業が海外の消費者に受けたのでしょうか?
 東芝です。もともと東芝の方が、ブランドイメージが上でしたが。

 
 結局、シャープは、国産パネルを買う国内がメイン市場になりました。


■堺工場
 第10世代の世界最新鋭?のシャープ堺工場。
 稼働前から計画の段階でシャープの販売規模に比べて、生産規模が大きすぎるとの問題がありました。


 シャープの経営陣もバカではないので、手を考えます。
 それが東芝との提携やソニーとの提携です。
 東芝とは、画像エンジンなどのLSIとパネルの交換でしたが、ソニーの場合、ソニーからの出資とソニーへのパネルの供給でした。
 当初は、最大50%近くソニーに供給するつもりだったみたいです。


 しかし、その計画はもろくも崩壊します。
ソニー自体のテレビ販売が予想以上に不調だった。
円高で台湾や韓国から安くて入るようになった。
③エコポイント、地デジバブルが発生して、パネルが不足した際、シャープが自社への供給を優先したそうです。

 その結果、シャープから買わなくていいやとなりました。


■エコポイント、地デジバブル崩壊
 日本国内のテレビ販売台数は、約1000万台ぐらいでしたが。
 エコポイント、地デジバブルにより、2010年から2011年頃は、約2000万台売れました。
 つまり、たった2年で、1000万台も販売台数が増えたわけです。


 テレビがあれば売れる世界です。どこのメーカーも増産を試みました。
 その際、シャープは、ソニーなどの他者への供給よりも自社を優先したそうです。


 それが、現状2012年では、600万台〜700万台に落ちそうな気配です。
 1500万台近く減ったわけです。
 日本市場で4割の市場を持つシャープは600万台〜700万台売り上げが減るわけです。
 しかも、主要市場が日本のため、大きなダメージになりました。
 そりゃ業績がおかしくなります。


 ソニー東芝もダメージを受けましたが、海外市場を持っていたため、シャープよりもましでした。

 生産に関して、東芝は外部委託が多いため、増産も減産も比較的柔軟にできたみたいですね。
 外部資源を巧みに利用したと言えます。


東芝選択と集中
 東芝は自社の得意分野である半導体に資源を集中し、コアでない部分では外部資源を巧みに利用しました。
 選択と集中をしていたわけです。

 
 対して、シャープは、パネルという得意分野に資源を集中したのは良いのですが・・・
 それ以外の部分に関しては、あまり成功とは言えませんでした。


■シャープはどうするべきだっか?
 得意分野はパネルなので、パネルに資源を投入したことは悪いとは思いません。
 しかし、あまり得意ではないテレビに固執したのは失敗と言えます。


 シャープは、伝統的に優れた部品を開発し、それを製品に生かすと戦略を取っていました。
 そのため、優れた部品を、部品だけ売ると言う経営戦略には、なかなかできなかったのかもしれません。


 サムスンは、パネルを作っていますし、テレビも作っていますが、シャープとは少し違うようです。
 サムスンのテレビは、自社のパネルも使いますし、他者・台湾のパネルも購入しています。
(需要が減った時は他者を優先的に削減しているようですが・・・)
 一方、パネルも他者に売っています。
 ある程度、パネル部門とテレビ部門が独立した関係の様です。


 シャープも、ある程度、パネル部門とテレビ部門が独立した関係なら、もう少し違った結果になったかもしれません。