映画『かぐや姫の物語』感想:ネタバレレビュー 〜現代風の判り易い話

「良い話だな〜」
 側に座っていた小学校2〜3年生ぐらいの子供の感想。


 私の感想とあまり変わらず。
 私も、小学校低学年と変わらないと言うことか・・・・


 原作、『竹取物語』 別名、『竹取翁の物語』『かぐや姫の物語
 ストーリーはほぼ『竹取物語』なんだけど・・・


 かなり、独自解釈は入っています。

 
 正直、原作竹取物語は、かぐや姫の心情は良く判らない。
 行動原理も不明。
 そもそも、そんなに長い話じゃないから、説明するのは無理なんだけど。

 かぐや姫は主人公だけど、主体的に動くことはなく。
 舞台装置と言う感じ。
 もっぱら、動くのは周囲の人々。
 周りの人を振り回す、かぐや姫が、わがままに見えなくもなかった。


 対して、「かぐや姫の物語」では、ほぼ視点が、かぐや姫目線で、かぐや姫の心情を中心に進む。


 二時間半の映画で、最初の50分は、かぐや姫幼年時代の話に使われる。
 この部分のマッタリ加減に、速攻で寝ている人が居たけど・・・・
 この部分は、後半との対比のために、念入りにやったのでしょう。


 原作だと、そのシーンはほんの一部。
 都に行ってからの話がメインなんですね。
 原作だと、結婚のドタバタ話がメイン。
 http://www.h3.dion.ne.jp/~urutora/taketoripage.htm


 過去の映画版では、やはりこの結婚ドタバタ話がメインになるのですが・・・
 この映画は対照的に、この部分があっさりですね。


 描きたいのは、そこではないということでしょう。


 映画では、幼年時代にあった男性に、かぐや姫が恋をしているような、描写があります。
 原作との明確な違いですね。
 自由恋愛VS条件による家と家との結婚という対比でしょうか。


 この映画ですと、都暮らし、貴族暮らしを、不自由で、形式的な世界。
 ある種、不幸ととらえています。
 かぐや姫の心情を理解した人物が、女たらしのプレイボーイで、結婚話が流れると言うのも皮肉。
 非常に現代的な解釈ですね。


 もっとも、主体的に生きたいと思っているかぐや姫も、結果的にはベルトコンベアー的に周囲の人間、運命には逆らいきれないのが悲劇的でしょうか。


 まぁ、そのあたりが昔話的ですね。鶴の恩返しもなんでも結局は帰ってしまうので。


 しかし、そのせいか、とってもわかり易い、『良い話』に仕上がっています。