ジュネーブ条約で自衛隊は軍隊か? 〜国際法上の軍隊

 前回、ジュネーブ条約上、自衛隊が捕虜のになった場合、どうなるか調べてみました。


 テレビをたまたま見たら、安倍氏が、「ジュネーブ条約上、自衛隊は軍隊じゃないので、捕虜になった場合、保護対象外になるから、自衛隊国防軍にしないいけない」みたいなことを言っていましたた。


 ジュネーブ条約なんて、私には判りません。
 主張が正しいかどうか、素人の私には判りませんので、条約を見て個々に判断してください。


捕虜の待遇に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約(第三条約)
http://www.mod.go.jp/j/presiding/treaty/geneva/geneva3.html
 第四条〔捕虜〕のA(2)では以下のようになっています。

(2) 紛争当事国に属するその他の民兵隊及び義勇隊の構成員(組織的抵抗運動団体の構成員を含む。)で、その領域が占領されているかどうかを問わず、その領域の内外で行動するもの。但し、それらの民兵隊又は義勇隊(組織的抵抗運動団体を含む。)は、次の条件を満たすものでなければならない。
(a)  部下について責任を負う一人の者が指揮していること。
(b)  遠方から認識することができる固着の特殊標章を有すること。
(c)  公然と武器を携行していること。
(d)  戦争の法規及び慣例に従って行動していること。

 少なくとも、ある条件さえ満たせば、軍隊以外でも、ジュネーブ条約上、捕虜扱いされるみたいですね。


ジュネーブ条約上、の軍隊】
 自衛隊は、ジュネーブ条約上の軍隊になるのでしょうか?


 各国の言葉上の軍隊の定義は同じなのでしょうか。違うことも考えられます。
 通常、言葉は曖昧なので、法律や条約では、その法律や条約で使う言葉の定義していることが多いです。


 そのため、国内法上の軍隊の定義と、ジュネーブ条約上の軍隊の定義が異なり、国内法条は軍隊じゃないけど、ジュネーブ条約上の軍隊扱いというのは理論上はあり得ると思いましたので、調査。


ジュネーブ条約第1議定書第43条に軍隊に対する定義がありました。
http://www1.doshisha.ac.jp/~karai/intlaw/docs/ap1.htm
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/k_jindo/pdfs/giteisho_01.pdf

これがジュネーブ条約上の軍隊の定義なのか判りませんが・・・・
とりあえず参考までに。

第二部 戦闘員及び捕虜の地位
第四十三条 軍隊
1 紛争当事者の軍隊は、部下の行動について当該紛争当事者に対して責任を負う司令部の下にある組織され及び武装したすべての兵力、集団及び部隊から成る(当該紛争当事者を代表する政府又は当局が敵対する紛争当事者によって承認されているか否かを問わない。)。このような軍隊は、内部規律に関する制度、特に武力紛争の際に適用される国際法の諸規則を遵守させる内部規律に関する制度に従う。


 ぱっと見、国内法上、どう定義されているかは、問題にしていないみたいですね。


PS
 ネットはいろいろと便利なのですが。
 ジュネーブ条約上の軍隊ではないという主張が多すぎて、他の意見を探すのに苦労しました。
 特定の情報で埋め尽くして、他の主張を殺すことは簡単なんですね。


 ネット上だと、「紛争当事国に属するその他の民兵隊及び義勇隊の構成員(組織的抵抗運動団体の構成員を含む。)」ではなく、意図的にカッコ内を削除した「紛争当事国に属するその他の民兵隊及び義勇隊の構成員」条文を使ったりと、酷いものです。


 もっとも、大手マスメディアは、ジュネーブ条約上の説明や解説もせず、裏を取らずに情報を垂れ流すので、たちが悪いですが。