一橋大学ビジネスレビュー9月号を今さら読んだところ、「エレクトロニクス産業の衰退」について色々書いていた。
読んでちょっと考えたこと。
金銭的付加価値というものは、絶対的なものではなく、競争状態に大きく左右される。
エレクトロニクス産業は、1990年以降、韓国・台湾の挑戦を受け、金銭的付加価値を減少させてしまった。
液晶産業は、2000年あたりから、同様に金銭的付加価値を減少させてしまった。
それに対して、自動車産業は、韓国・台湾の挑戦をあまり受けていない。せいぜい、韓国の現代ぐらいだろうか? ライバルは、問題だらけのアメリカのビック3とあまり労働者が働かないヨーロッパ。
しかし、2010年あたりから、その環境は大きく変わりそうだ。
中国が世界最大の市場になり、生産工場としても、2010年に世界一になりそうだ。
また、日産がタイで生産を始めたように、東南アジアでも生産が進んでいる。
自動車産業は、初めて本格的な挑戦を受けることになる。
【日本企業の日本工場VSタイ工場】
今回の戦いが非常にやっかいなのは、日本企業の日本工場VSタイ工場・中国工場が起きることだ。結果、企業栄えて、国滅ぶ的になる可能性がある。
そもそも、台湾が急速にキャッチアップしたのは、対韓国のために、日本企業が台湾企業と組み、技術を積極的に提供したためだ。中国・タイメーカーと対抗するために、現地の自社工場に、技術を積極に出すことは十分に考えられる。気がついた時には、日本工場とタイ工場が大差ないなんてことになりかねない。
【イノベーションのジレンマは下位機種から】
トヨタは、高級車レクサスでアメリカ市場で儲けた。軽・安売りの車を作る会社から高級車を作る会社になった。いったんそういう会社になると、安物を作るのは難しい。
トヨタは、プリウスなど高機能車を作ることにより、上位に逃げているが、イノベーションのジレンマの想定内だ。トヨタなどは、下位機種からイノベーションのジレンマに苦しめられるだろう。
【高級品は景気変動の幅が大きい】
トヨタは利益の中心を高級品にシフトしたのですが、高級品は景気変動の幅が大きいです。
安物は、好景気になりますと、安物から中級品にシフトする人がいる一方、買えなかった人が、買ったりします。つまり、プラスマイナスの相殺により変動の幅が小さい。不景気ですと、逆に買えない人が増える一方、中級から安物に移る人がいるのでプラスマイナスの相殺により変動の幅が小さい。
高級品は、好景気になりますと、どんと消費が増える一方、不景気になるとがくんと減る。
プラスマイナスの相殺がなく、自動車販売の幅以上に変動の幅か大きい。
トヨタの人たちは、自分のビジネス対象の変化による、売上変動の幅が拡大したことをあまり認識していない。