2000年より前。
自動車の主要生産国は、日本、西ヨーロッパ、アメリカなど先進国だった。
しかし、2000年以降、その地図は大きく変わった。
中国が世界最大の生産国、消費国になり、アセアン、インド、南アメリカそして、ロシア、トルコなど新興国で、大幅に増産されている。
現地生産、現地消費という側面もある一方で、輸出もされている。
自動車は、もはや、先進国の製品ではない。
安い途上国・新興国の商品としての側面も持ち始めた。
まだまだ、品質など、たいしたことがないと言う人もいるだろう。
しかし、低品質・低性能の下位クラスなどは、新興国レベルで十分と言う人が出て来るかもしれない。
徐々に、下位クラスの品質・性能が上がり、上位が飲まれるのは間違いない。
日本は、中国やタイの側であり、分業に組み込まれるだろう。
日産マーチのタイからの輸入のようなことは、今後、他社に広がって行くだろう。
低価格車は、ほとんど海外になる可能性すらある。
じゃあ、それが即、日本の衰退を意味するかと言うと違うだろう。
あくまでも、分業が起きるだけだ。
重要なのは、キーになる部材や部品を押えること。
安物は海外に出してしまって良い。
ハッキリ言って、大企業を頼りにしてはいけない。
彼らは、国内と国外を比較して、値切りをするだけだ。
いとも簡単に、海外へ出て行く。
生活水準を維持したかったら、地元に強い中小企業を育てるしかない。
ヨーロッパでも、アメリカでも、生活水準の高いところは、地元に強い中小企業があるところだ。
ただし、対応を間違えて、日本人の低賃金化で、対応・対抗しようとした場合、生活水準の劇的な低下と日本の衰退を招くことになるだろう。
行政がやるべきことは、地元の中小企業の研究開発を金銭的に支援することと、大学や高専、工業高校の教育水準を高めること、大学と大学院の研究能力を高めることだ。
ようするに、そこに今以上に、お金を投入しましょう。
その際、特に重要になるのが、素材産業とメカトロニクス(死語)だ。
素材産業は、製品の性能、加工精度、品質を大きく作用する。
そして、現状に置いて研究開発費の多くは、ソフト開発であり、機械とソフトの連動は不可欠なので、メカトロニクス(死語)が強いに越したことがない。