日本の産業振興 強みとどうしようもない創造力不足

 日本の製造業は、レベルが高い。レベルが高いだけではなく、さまざまなジャンルの製造業がある。
 韓国、台湾、スイスやシンガポールと比べてみると、それらの国は中・小国ゆえに、全部の産業がそろっていないのが、わかると思います。
 例えば、自動車産業。台湾・スイス・シンガポールにはほとんどない。
 韓国は、家電、半導体、自動車、造船、鉄鋼と色々あるのですが、素材や部品、工作機械などは日本から多くを輸入している。フルセットではない。日本は、繊維や組立て以外は、ほぼ全て生産できる。
 ヨーロッパは、いろいろありますが半導体が何とも弱い(ソフトはあるけど)。
 海外から見れば、やろうと思えば、何でも出来る日本は憧れの的だ。
【総合力勝負】
 古い言葉だけど、機械とコンピュータを融合させてメカトロニクス(代表はロボット、自動車など)は、日本が一番の分野だった。
 高機能素材とかも日本が強い。
 日本は、各産業を組み合わせた製品に強みを発揮できる。自動車が強かったのは、まさにこの総合力。
 インテルマイクロソフトといった専業も利益を上げますが、IBMなどは総合力を強みとしている。
 総合力も、お金になるんです。やりかたしだいで。
 この強さを自動車以外の分野で以下に発揮させるかが、重要なのですが...発揮できていない。
 例えば、日立や東芝、松下。現状では総合力を発揮しているとは、言いがたい。
 各産業が交流がなく、より深刻な話として、他の産業を理解できる人間が少なく、力を発揮できていない。総合メーカーの経営者すら怪しい。自社すらも理解できず、自社の力を発揮できていない。
 日本全体なら、なおさらだ。
 日本の経営者の多くは、政治家・政府に産業振興策を求めている。そして、「ない」ことに不平を述べている。一言、惨めだ。本来は経営者が、政府に提案するのがスジだろう。政治家・政府に新産業創造やイノベーションや創造性を求めるのが、バカらしい。
 経営者が求める規制緩和も新産業のためではない。ただ単に利益や首を切り易くするだけ。
 経営者に、創造力がなく、政治家・役人に求めるのが、情けない。