STマイクロエレクトロニクス 敗者復活企業

 STマイクロエレクトロニクス。日本では全然有名ではないのですが、半導体メーカーでは世界第5位の売上の企業です。
 日本で、STの部品が使われている一番有名な製品と言いますと、任天堂のWIIのコントローラに使われています加速度センサーです。
 基本的に、メモリみたいな台湾韓国と競合するような製品ではなく、一癖あるような製品を作っています。
 どこの企業かと言いますと...イタリアとフランスの会社が合併した企業(本社はスイス)です。正直言って、ヨーロッパに半導体メーカーあったの?という感じです。
 STは、1987年、イタリアの「SGS Microelettronica」とフランスの「Thomson Semiconducteurs」の合併により誕生したのですが...当時は日本企業がブイブイ言っていた時代です。アメリカも日本の企業に押されていて、ヨーロッパの会社は言わずもがな。そんな会社が合併したわけですから、当初、弱者連合と言われていました。
 それがいまや、世界屈指の企業になっています。
 なぜ、そんな大企業になれたのか?
 こちらのHPの製品ラインナップを見ていただけると判りますが...ロームみたいな製品ラインナップです。
 前回紹介のマイクロンテクノロジーがメモリなど微細加工が必要な半導体なのに対して、STは比較的微細加工の重要度が低いものを扱っています。
 具体的なカテゴリーとしては、通信関係の半導体が強い企業です。
 フィンランドノキアスウェーデンエリクソンなど北欧系携帯メーカーと共に成長した企業とも言えます。別の言い方をしますと、取引先と主に成長した会社です。
 日本の携帯メーカー(パナソニック、NEC、シャープ)などは、自社が半導体メーカーですので、出来る限り自社部品を使おうとしますが、ノキアなどは半導体メーカーではないので、外部から調達します。ノキアなどの要求に、がっちりに答えることにより、成長したわけです。
 日本企業も、「メモリは駄目、システムLSIだ」みたいなことがあり、現在でも、それなりにシェアを得ていますが、結局、製品提供先の企業の成長力で、後れを取ってしまったことは否めません。
 自社の力だけではなく、いろんな意味で、取引先・パートナー先は重要だという事例だと思います。
【教訓】
・得意分野に資源を集中する。
・パートナーの成長を助けることが、自社の成長につながる。