現在、無農薬リンゴを題材にした「奇跡のリンゴ」という映画がありますが。
「奇跡のリンゴ」にはちょっとしたデメリットがあります。
【そもそもなぜ農薬を使うのか】
多くの人は、虫を殺すためと考えますが・・・
農薬は、農薬ですので、病気対策としての意味合いが実際は大きいんです。
農業は、単一の作物を大量に密集して、栽培します。
そのため、自然界よりも害虫にやられやすいという特徴があります。
そして、密集しているので、病気にはさらに弱い。
密集しているので、次から次へと感染して行きます。
判り易く言いますと、学校や職場、満員電車にインフルエンザ患者が居るようなものです。
虫ならば、天敵や手で取るなどの対処が出来ますが、さすがに病気は難しい。
もちろん、農薬使用にはデメリットがあります。
例えば、病気で抗生物質を飲んだ場合、お腹の中の有益な菌まで殺してしまう場合があり、病気は治ったけど、体調が悪いと言うことがあります。
農薬も同じでして、対象となる病気だけではなく、有益になるものも殺してしまう場合があります。
もっとも、病気の時は、薬を飲んだ方が良いように、病気の時は農薬を使った方が良いんです。
あと病気前にも、病気予防のうがい薬とかもね。
奇跡のリンゴも、無農薬と言っていますが、酢やワサビなどを使っているようです。実はこれも天然由来の立派な農薬なのですが・・・まぁ、病気を防ぐためには、何をしないと難しいのです。
【収穫量】
毎年ではありませんが、何年に一回か病気にやられます。
江戸時の頃は、現代と違い農薬はあまり発展していません。
ですが、毎年不作という訳ではありません。
植物自身、対病気の能力がありますので。
しかし、何年にかに一回、かなり深刻な不作になります。
悪天候と病気の組み合わせですね。
農薬使用により、安定した生産が可能になったのです。
個人なら収穫が不安定でも、個人の(もっぱら収入の)問題ですが、地域・国レベルで収穫が不安定になった場合は、社会問題になります。
注意:薬が役所の許可が居る様に、農薬も役所の許可がいります。そして、農薬と名乗れるのは役所の許可をもらったものや指定されたものです。
つまり、無許可の毒薬を使った場合、無農薬になります。
【近所への影響】
さらに問題なのが、近所への影響です。
自分の畑だけではなく、自分の畑が害虫や病気の巣になり、周辺の畑にダメージを与えます。
ある意味、これが無農薬を行う上での最大の障壁かもしれません。
ですから、無農薬や低農薬の農場では、病気が発見された場合、感染を防ぐために早期にそのエリアの作物を潰す場合があります。
土地が狭く近所が近い日本、本州では無農薬や低農薬が難しいんですね。