チョコボール裁判の結果は? 〜一般人と専門バカの傲慢?

 別に、チョコボール向井さんの裁判ではありません。
ネタ元はこちら。
http://ib-kenko.jp/2012/04/post_834_0405_dm1217_2.html

2010年、森永製菓(株)(東京都港区)がチョコレート菓子『チョコボール』の商標権を侵害されたとして名糖産業(株)(愛知県名古屋市)が販売するアイスクリーム『徳用チョコボール』に対し、「販売差し止め」「6,000万円の損害賠償」などを東京地裁に提訴した事件。
 訴えに対して名糖産業は、先に商標を使用していたとする「先使用権」を主張していた。

 要するに、有名だと言うことで、チョコ+ボールという独創性もかけらもない名前ですが、2008年に商標権を取れたわけです。
 そして、その権利を使って、何十年も前から、チョコボールという名称を使っていた名糖産業(株)を訴え訳です。

 どっちが勝つか、ネットでは意見が分かれました。
 2chなどを見る限り、一般人の人は名糖。
 弁理士は、森永を支持している人が多いような気がしました。


 結論から言いますと、和解です。
http://www5.mediagalaxy.co.jp/meito/20120403_information_r.pdf
 損害賠償を名糖が払ったのかは不明ですが、今後も、名糖が名称を使い続けられるので、森永は実質敗北でしょう。


 私自身、このネタに関しては嫌な思い出があります。


 私自身、特許を勉強していて、某SNSで名糖が、先使用権を認められて、有利と書いたのですが・・・
 自称弁理士の人が、コメントで、商標を持つ、森永が有利と書いたわけです。

 まぁ、森永の商標権は、特許庁が認めたものです。対して、名糖の先使用権は、その段階では明確に認められたものではありません。


 その自称弁理士の人は、名糖に先使用権があることを証明しろと言います。
 私は、「名糖が昔から使っていたこと」「愛知周辺に何年も取引実績があること」、大手小売りのネット販売で取引されていることを上げました。

注意:累計出荷量は不明でした。

 対して、自称弁理士の人は、それでは認められないと主張します。
(ずるいことに認められない根拠は出さず)


 なぜ、こんな話になるかと言いますと、まぁ、先使用権が認められる条件が曖昧なのですが・・・

(先使用による商標の使用をする権利)
32条 他人の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなくその商標登録出願に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についてその商標又はこれに類似する商標の使用をしていた結果、その商標登録出願の際(第9条の4の規定により、又は第17条の2第1項若しくは第55条の2第3項(第60条の2第2項において準用する場合を含む。)において準用する意匠法第17条の3第1項の規定により、その商標登録出願が手続補正書を提出した時にしたものとみなされたときは、もとの商標登録出願の際又は手続補正書を提出した際)現にその商標が自己の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、その者は、継続してその商品又は役務についてその商標の使用をする場合は、その商品又は役務についてその商標の使用をする権利を有する。当該業務を承継した者についても、同様とする。
《改正》平10法51
《改正》平17法056
2 当該商標権者又は専用使用権者は、前項の規定により商標の使用をする権利を有する者に対し、その者の業務に係る商品又は役務と自己の業務に係る商品又は役務との混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができる。

「その商標が自己の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとき」との部分ですね。

 「需要者の間に広く認識されている」って、具体的には、どうなのよ。
 地域や認知度など、ある程度基準は提示されていますが、人間の判断の余地があるわけです。ですから、意見が分かれるのですが・・・・
(10年以上とか具体的な基準はなく。たとえ、1年程度であっても、業界内で知られていればOKだったりします)

 結局、素人の方が、正しいかったわけですが・・・・
(和解なので細部は判りませんが・・・・)

 和解と言うことで、判例には残らず。
 結局、範囲は曖昧のままですね。
 判例となれば、特定の県の一地域でもOKとなったのですが・・・
 少なくとも裏を返せば、商標を持っている森永は勝てなかったわけですので、多少の目安にはなるのでしょう。


【そもそもが変な裁判】

何が変かというと・・・・
森永製菓側が、「2009年に初めて存在を知った」などと言っているのです。

同じ業界に居て、相手も大会社。商品はHPに乗っている。社長が知らなくても、社員で知っている人間は間違いなくいるはずだ。


 少なくとも、知財の担当者は知っているべきことでしょう。
 世の中には、模倣・類似品によるビジネスがあります(吉本の面白い恋人みたいなものです)。
 それに対抗するために、不正競争防止法というのがあり、商標権を取れていなくても、戦えるし、戦わないといけない場合があります。
 知らないとは自分はバカです、知財の仕事してませんでしたと、公言しているようなものです。


 この点に関しては、私の同じような疑問を持っている人がネットに居ました。
http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20110218/1298709502


 常識的に考えますと、知らないなんて、そんな訳がないので、森永製菓は嘘を言っているわけです。
 白々しいですね。


 面白いことに、自称弁理士の人の人は、このような推測も「証拠がない」と認めず。
 確かに、裁判は証拠主義ですし、森永が認めるわけもないのですが・・・・


 裁判としては有効でも、世間一般には意味不明の主張をする森永。
 なんか、森永サイドの歪みが見えてきます。


【森永社内の妄想】
 森永社内でも、当然、先使用権は知られているはずなので、当然勝てるか、もめたはずです。
 対して、知財部門と弁理士の自称プロが経営陣を押したのでしょう。
 
 所詮、多少学んだ程度の素人とプロ・専門家では、発言の信頼度が違います。 


 当然、素人は退得られ、専門家が勝つわけですが・・・
 

 こういう構図とよくあると思います。
 過信し傲慢な専門家と、彼らを支持する人たちにより押し切られる判断。


 退けられる多少学んだ程度の素人の不安。(確かに、素人の浅知恵というのはあるので、難しいものです)


 悪い言葉で言いますと、過信し傲慢な専門家と彼らを妄信する無知な方々・・・
 この組み合わせは良くあります。


 原発や経済政策ですね。


 自称専門家がうまい話を言って、それを多くの人が支持する。
 多少学んだ程度の素人の不安は退けられる。


 不安解消のために、きっちに説明されることはなく、無視や排除、レッテル貼りが行われる。


【過信し傲慢な専門家を見分ける方法】
 基本的に、彼らの説明は雑です。
 確かに、一般の人に難しいことを言っても、伝わらないので、シンプルにして、ざっくり説明する方法はあります。


 しかし、まっとうな専門家は、詳細説明を求めれば、ある程度してくれます。


 対して、過信し傲慢な専門家たちは、
 不安解消のために、きっちに説明されることはなく、無視や排除、レッテル貼りを行います。


【謙虚と過信、知識量のカーブ】



(いや〜汚い図だ。幼稚園並)

 一般的に、知識がない人は謙虚な人が多い。
 知識がないためですが・・・
 そして、本当の専門家も、謙虚な人が多い。
 自分の知識の限界を知っているためでしょう。数多くの事例を知っているため、単純に適応できない例などを知っているためと考えられます。あと、失敗の経験の差もあると思います。
(本当の専門家は、謙虚な人が多いです。まぁ、傲慢な天才も居ますが・・・・)


 対して、過信の危険があるのが、多少知識のある素人と中途半端な専門家


 素人のようなミスはしませんが、この人たちは素人ことなり他者への影響力・権力を持ちますので過信によるミスを犯しますと、被害は甚大です。