日本経済衰退の原因 〜銀行の評価システム 

 バブル崩壊の90年代以降、日本は低成長の時代になりましたが、伏線は80年代に既にまかれていました。
 地価の高騰と銀行の土地本主義です。
 50年代、60年代は、企業にはまともな担保もなく。人と事業を見て、お金を貸すしかありませんでした。しかし、70年代、80年代になると、人と事業ではなく、土地を見てお金を貸すのが中心になります。
 土地さえあれば馬鹿にでも貸すけど、土地がなければ貸さないの世界です。
 当然のことながら、人を見る目、事業を見る目は衰退します(いまだに銀行は、企業を見る目がありません)。
 インフレや経済成長もあり、地代はほぼ右肩上がりで上昇して行きました。そのため、土地の担保さえ取っていれば、リスクが少ない時代が30年以上続いたのは事実でした。
 バブル以前の日本の金利は、物価上昇率よりも公定具合の方が小さく実質マイナス金利でした。不動産は中長期的にはGDP上昇率程度には値上がりしますので、借金しても意外と返済は楽でした。借金の元本を返すという考えは必要ないわけです。銀行も無理に回収しません。

 設備投資ならば、機械の摩耗や時代遅れになったりするので、元本?分を回収する必要があります。
 その点、土地は摩耗しませんので、金利だけで良いやという動機になります。

 例 100億円金利7%で借りて、100億円の土地を買ったとしても、次の年には経済成長と物価上昇で109億円になっているので、利息や元金返還の心配をしなくていい。
 事業ならば、失敗し回収不可能になる危険性があったのですが、土地は安全と考えられていました。
 つまり、土地の収益性はあまり問題にはされませんでした。
 さらに、何十年も、土地が上がり続けると、人々は「土地の価格は下がらない」という土地神話を生み出します。
 そうなってくると、人々は土地代が下がるリスクを計算しません。
 土地を使って何をするかではなく、土地を所有することが重要になります。取りあえず利息分、土地の価格が上昇すれば良いのです。
【バブル】
 そして、バブルの発生です。銀行は、馬鹿みたいにお金を貸し、不動産屋は土地を高値で購入します。その取引に寄り周辺の土地代の評価も上がります。
 収益性で土地代が決まるのではないため、周辺の土地の取引価格に非常に振り回されます。
 危険と思わなかったのか? 土地は下がらないという土地神話が人々の頭にありました。
 多くの人々は、その危険性を訴えましたが無視されました。
 なぜなら、バブルは続き、土地の値段は高騰し続けて、マネーゲームをした人たちは、多額のお金を儲けたわけです。
 そうなってくると、現実目の前で上手く行っているので、理論的な危険性を訴えたところで無意味です。
 マネーゲームをしない会社や人は、馬鹿と言われる時代でした。 

 バブルには、人々の期待を煽り行動を正当化する口実(きっかけ)が必要です。
①JAPAN AS NO1日本人は世界で一番優秀②土地神話 ③ストックの時代、財テク
 ITバブルの時は、ITの急成長。全てがITに取って代わるとか。

 そして、バブルがはじけた時、逆回転が始まります。 

 疲れたので、また別の機会へ。

PS1
 プラザ合意は、本質と言うよりも、原因の一つ、引き金の一つです。金利だけでバブルが起きるなら今苦労はしません。
 原因は、土地本主義と心理面にあると思います。
PS2
 バブル時代の日本は、過剰投資・投機ではあったのですが、たがくの貿易黒字を維持し過剰消費ではありませんでした。ほんらいはあれぐらいの消費が普通で、その前後の消費が少なすぎるんです。