クレーマー撃退法の罠:

 よく言われる話ですが、悪徳・モンスタークレーマーの比率は、3%もない(1%以下の会社もある)。つまり、モンスタークレーマーは、例外的な絶対少数の存在であり、モンスタークレーマーを中心に頭を使いすぎると、副作用の方が大きくなる(そもそも会社に小さい苦情を言う人は5%も居ない。そう考えると、大小あわせた全体のクレームに占めるモンスタークレームの比率は0.1%以下である)。
 クレーマー撃退と称して、顧客の抱えている問題・疑問・ニーズに対処せず、強行的な対処を取る企業がある(そして、それを煽る書籍も)。それらの企業は、自分たちの行動を『断固たる態度』と言っているが…
 困ったことに、強行的な対処は、表面上、それ以降のクレームが減るので、上手く言っていると勘違いしてしまう場合がある。
 現場が、それに慣れてしまうと、苦情を言った客とコミュニケーションをし、時間と手間をかけて、対応するのが、どんどん省かれる。
 表面上は手間が減り楽になるので、どんどんエスカレートする。この段階で、間違いなく普通の接客・対応のレベルが落ちてくる。同時に、対応の悪さから通常の客のモンスター化が始まる。
 そして、最終的にはコミュニケーションをし、時間と手間をかけて、対応すべき客にまで、乱暴な対応をし始める。
 さらに、この段階でも、問題は表面化しない。職場がそういう文化になってしまっているので、変だと思わなくなってしまっているのだ。
 また、悪評も良い評判も蓄積性のものなので、良い評判>悪評の間は、売上は激減しない。そして、良い評判<悪評になった瞬間から、売上が激減し始める。
 こうなると、どうしようもない。
 内部の人間は、なぜ激減しているのか、理解できない。
 なぜか? 原因調査として、売上激減の直前の要因・行動に、着目するからだ。
【対応】
 企業は、質問と要望と悪質モンスタークレーマーを明確に別けれべきだ。できれば、強行的な対応や客をモンスタークレーマーとして見る癖を現場の人につけさせないために、担当の人間も別けたほうが良い。