注意:
この記事は、私の勘違いでした。失礼しました。
この生物は、光合成能力がなく、油を製造するのは、水中の有機物を集めて行うようですね。
海外の「藻から石油」は、光合成で作るので、同じものと考えてしまいました。
まったくの勘違い。恥ずかしい。
私と同じような勘違いをしている記事は多い。例えば、日経新聞記事。
これまで見つかっているものより10倍以上も高い効率で石油とほぼ同じ成分の油を作り出せる藻類を、筑波大の渡辺信教授らが発見した。大規模に育てて油をとれば、1リットルあたり50円程度で安価に石油の代替燃料を生産できる見通しという。量産法や最適な抽出法などの開発が必要なため、本格的な商業生産には10年程度かかるとみている。
沖縄地方の海で発見された藻類「オーランチオキトリウム」の顕微鏡写真(筑波大提供)
画像の拡大沖縄地方の海で発見された藻類「オーランチオキトリウム」の顕微鏡写真(筑波大提供)
新しい藻類は「オーランチオキトリウム」。沖縄地方の海で発見した。従来から研究している藻類と比べ、一定の個体数から得られる油の量は少ない。しかし繁殖速度が極めて速いため、同じ広さの空間で同期間育てた時の油の生産量は12倍に達することを確認した。
海などにすみ石油と似た成分を作り出す藻類はこれまでも知られ、トウモロコシからバイオエタノールなどを作るよりも生産効率が10倍以上高い。油の回収や処理を含む生産コストは1リットルあたり800円程度かかるのが難点だったが、今回の藻類なら10分の1以下に下げられるという。
渡辺教授は「これほど効率よく石油と似た油を作る藻類は世界でも例がない」としている。
http://www.nikkei.com/article/DGXDASDG14047_U0A211C1CR8000/
この技術の場合、太陽光ベースのものと比較しても、まったく意味がない。
なぜなら、太陽光をエネルギー源にしていないから。
比較するならば、同じ汚水などの有機物を利用したバイオガス(液体・機体の違いはありますが)。
ちょっと違いますとけど、汚水・排水からバイオマスでガスを発生させるのと、同じ感じですね。
なるほど、これなら、1平方メートルから大量に取れても、おかしくない。
(1ヘクタール当たり、Xトンという表記自体が意味がない)
この場合は重要なのは体積であり、汚水・排水の量と質なわけで、それらをどうもってくるかがポイントになります。
下水の廃液(有機物質)から取るとの話です。
しかし、それがいかに難しい行為かは、こちらの方が考察されています。
http://www.shiftm.jp/show_blog_item/125
(不可能という意味ではなりません)
以下、見苦しい良いわけです。
2万haだと約2億tの石油が生産されるそうですが・・・つまり、2億トンの石油を取るためには、2億トン以上の有機物を持ってこないといけない。
人間、家畜のウンチでは足りない。
河川などの自然界の有機物も利用するのだろうか?
あと、実用化する場合、立地は福島のような田舎ではなく。
生活排水が利用できる都心部の汚水処理施設になると思います。
山間地などの耕作放棄地を利用するのは無理ですね(水を上げるエネルギーがかかるので)。
これ以上だとハジの上乗せなので、ノーコメント。
ただし、反省を兼ねて、記録として、残しておきます。
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藻から油を作るというのを、「夢の扉」という番組で見た。
良い話だな〜と思う一方で、胡散臭い数値が、垂れ流されるいることに違和感を覚える。
基本的に素晴らしい話だと思うのですが、その胡散臭い数値をもとに、政治や経済などを語りだし、影響力を持ちだすのが、不気味だ。
【違和感】
何が違和感かと言うと...1haあたり1万トンもの油が生産される点だ。
20万haで20億トンという記事が、ネットでもテレビでも出ていた。
http://convenience.typepad.jp/naze/
朝日新聞
http://www.asahi.com/science/update/1214/TKY201012140212.html
1haあたり1万トンというのは、既存技術と比較して、明らかに数値がおかしいのだ。
【既存技術】
こちらの記事
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-171256-storytopic-1.html
これまで発見された藻類から抽出できる油は1ヘクタール当たり年間約140トンほどだったが、「オーランチオキトリウム」はその10倍から12倍の生産量が期待できる。
http://katintokei.at.webry.info/201104/article_37.html
藻類のオイル生産能力は1ヘクタール当たり年間40- 140tと非常に高い。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20091124/210490/?rt=nocnt
日経だと50トン程度。
既存技術は1ha当たり、50トン〜150トンなので、10倍にしたとしたら、500トン〜1500トンになる。
この数値を達成できたら、それこそ、エネルギー革命ですが...
なぜか、途中から1haあたり1万トンもの油とケタ高上がっている。
ほぼ、100倍。
胡散臭さが出てくる。
【エネルギー収支が合わない】
1haあたり1万トンということは...1平方メートルあたり1トンの油が取れることになる。
藻が油を作るエネルギー源のほとんどは太陽光エネルギーのはずなののだが...
1平方メートルあたり1トンの油になると、油のエネルギー>太陽エネルギーになる。
(計算間違いの可能性があるけど)
計算すると、エネルギーがどこからきているか不明なのだ。
ガソリンのエネルギー密度
http://adnirer.blog.ocn.ne.jp/blog/2008/03/1_ea54.html
表1:液体燃料エネルギー密度
種類 | wh/kg | wh/l |
---|---|---|
ガソリン | 12,300 | 9,600 |
軽油 | 12,400 | 10,600 |
つまり、1トン当たり、12,300(wh/kg)×1000(kg)=12,300(wh/kg)×1k(kg)=12300kwhとなる。
太陽エネルギーは
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E9%99%BD%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC
によりますと...
設置場所における年間の日射量は緯度や気候によって異なる。日本では約1200kWh/m2である。欧州では中部で約1000kWh/m2、南部で約1700kWh/m2である。また赤道付近の国々では最大約2600kWh/m2に達する
(「年間 日射量 kWh」 で調べてみてください)
なので、明らかに、現状だと油のエネルギー>太陽エネルギーになる(計算間違いかもしれないですが)
【技術評価を出来ない社会】
私自身は、藻による油の生産は、トウモロコシを用いたエタノールより良いと思うし、やり方次第で現実的だと思う。
しかし...技術評価がいい加減だ。
私自身、エコなどで新エネルギーの話を良く聞くのですが...エネルギー収支とかが、結構怪しい話が多い。
でも、胡散臭さを文系の人に話しても、耳を貸さないし、理解もされない。
最悪、私が間違っているとなじられたりもする。
真面目に評価しようという姿勢が、そもそもないんだ。
そういう社会においては、真面目に研究して、真面目に現実的な数値を出したところは無視される。
これは公共工事において、空港など採算性なしと提出したマーケティング会社は、その後採用されないのと同じ構図。結果、計画と実際の数値が乖離を起こすわけだけど...
目を引くインチキ数値を出した方が、マスコミに取り上げられ、社会的に評価される。
こんなことで、真面目な技術者・ベンチャー企業が育つはずない
技術評価をできない上に、聞く耳も持たない社会には、ときよりうんざりする。
PS
どうやら、藻に与える特殊な液があるそうです。
その液が既に、相当なエネルギーを持っている可能が高い。
太陽光からエネルギーを得ていると私の前提が間違っている可能性が高い。
では、その液のエネルギーはどこから持ってくるのか?
なぞです。