東京電力の組織的問題 〜上層部が出た大学と学部から企業の弱点が判る

 堅い話。
 ネットで拾った、東京電力の上層部が出た大学と学部。

【取締役会長】 勝俣恒久  東京大学 経済学部卒業
【取締役社長】 清水正孝  慶應義塾大学 経済学部卒業
【取締役副社長】 皷紀男 早稲田大学 法学部卒業
【取締役副社長】 藤本孝  慶應義塾大学工学部卒業  
【取 締 役】 青山やすし  中央大学法学部卒業
【取 締 役】 木村滋  東京大学法学部卒業
【取 締 役】 森田富治郎 東京大学法学部卒業
【常任監査役監査役会会長】 築舘勝利  京都大学法学部卒業

 ポイントは大学よりも学部
 ぱっと見て、法学部が多い。
 工学部出身は、【取締役副社長】 藤本孝  慶應義塾大学工学部卒業  
 ぐらいでしょうか。
 まぁ、取締役だからと法学部が多いと言えば、そうなんですが。取締役の役目は、法律的に正しいかだけではない。経営のチェックだ。

 なんというか、理系が少なすぎる。
 技術的な課題・問題の重要度・リスクを正しく理解できるのだろうか。
 福島や茨木の野菜の風評被害でも判るように、知識がない人は過大・過少にリスクを見積もる。
 どうにも、原発事故の原因とその後の対応を見ると、理解できなかった可能性が高い。

 管総理は東電幹部に激怒したそうですが、理系なので、東電の人よりも危機意識が高かったのかもしれません(実体は判りませんが...)。

【そもそも東電に就職する文系の気質は?】
 どう考えても、夢を追うタイプよりも、リスク回避・安定志向、慎重派だろう。
 一方、収入などにはコダワリがあると考えられる。
 まぁ、公務員タイプとほぼ同等だろう。
 こういうタイプは、基本的に問題発見型・問題解決型の人間ではない
 問題が起きないように、問題が起きた場合自分の責任にならないように非常に念入り準備はするけど、問題が起きそうな場合、見て見ぬふりをする。

【3人寄れば文殊の知恵だけど...】
 当たり前の話ですが、人間は知識がないと理解できない。
 重要度も正確には理解できない。
 気づきもない場合がある。
 そのため、自分以外の人の視点・知識が必要になるのですが...
 他の人が自分と似たような知識では意味がない。
 また、そもそも知識がなければさらに意味がない。

【トップ3に理系が居ない理系企業はまずい】
 基本的に、トップ3に理系が居ない理系企業はまずい。
 技術や科学を理解できず、経営に反映出来ないためだ。

【理系企業に求められるトップ3の経歴】
①1以上理系出身者を入れること
②1以上文系出身者を入れること
③法務が居ないこと

【①1以上理系出身者を入れること ②1以上文系出身者を入れること】
 全員文系、全員理系は良くない。
 全員文系だと技術や科学を理解できない。・・・Ⅰ 
 全員理系だと、財務が雑になったり、顧客を見なかったりし始める。・・・・Ⅱ

 中小企業だと、Ⅱの弊害が出ることが多い。
 理系企業は、創業者が理系出身者であるためだ。
 大企業だと、Ⅰの弊害が出ることが多い。
 理系を管理するのが文系であり、文系が出世するため。

 ソニーが衰退した原因として、極端なマーケティング志向になり、シーズではなくニーズ対応型企業になり、革新的な製品を出せなくなったためだ。
 革新的な製品を出す会社は、マーケティングが単純に強いだけではなく、結構、プロダクトアウト的な側面も多い。

 アメリカのハイテクベンチャーですと、ベンチャーキャピタリストが、文系の役割を演じていることが多い。

【③法務が居ないこと】
 ハッキリ言って、法務が居るのはあまり良くない。
 法務の人は弁が立ち、法律上の責任回避は上手いが、企業に重要なのは、法律上の責任回避ではなく、創造性であり、そもそもの問題回避だ。
 法務出身者や会計出身者は、法律の穴を付いた人件費削減・責任回避などは得意ですが、それでは企業の活力が失われる。
 また法律は遵守するけど、倫理は遵守されない。
 法務が力を持つと逆説的に企業が堕落する。