田中真紀子文部科学相が新設3大学を不認可に 〜量か質かという問題なのだろうか?

毎日新聞 - 田中文科相:3大学の新設認めず…審議会の答申覆す(2012年11月02日 12時36分(最終更新 11月02日 14時08分))
http://mainichi.jp/select/news/20121102k0000e040200000c.html

 また、現在783校ある4年制大学について「競争が激化していて、質や運営に問題があるところがある」とも指摘。また、「事前規制ということではない。イノベーション、改革だ」と説明した。


 この判断には、近年、実質倒産した、堀越学園の影響があったことが考えられます。
 堀越学園創造学園大)は、以前から倒産する大学の筆頭に上げられていたので、来るべきものが来たと言うべきでしょうか。
 個人的には、この大学に入る、生徒も生徒だと思うのですが・・・・


「群馬の学校法人に解散命令へ 創造学園大など運営」
http://www.asahi.com/edu/news/TKY201210030822.html

群馬県高崎市創造学園大学などを運営する学校法人堀越学園(大島孝夫理事長)に解散命令を出す方針


 その結果、文部省は後始末に追われている。


 この影響で、大学の新設が厳しくなることは、考えられるのですが…なかなか唐突な判断だと思います。


 確かに、大学の経営は厳しい。
 特に地方大学は、非常に厳しい。
 秋田の私立大学なんて、経営がボロボロだ。

 とは言っても、不認可にされた「秋田公立美術大」は、公立なので、私立よりましだと言える。
 (ただし、税金が大量に投入される危険性があるけど・・・)

 
 しかも、唐突すぎる。既に、何億も投入されてて、不認可もないだろうに。
 だったら、「ペーパーの計画の段階で不認可にしろよ」と言いたい。
 そもそも、理由がおかしい。


【量より質?】
 不許可の理由を「量より質」と言っているけど…結局、質を理由に不認可にしているわけではない。
 質をチェックしている節はない。
 大学の量を理由にしている節がある。
 それじゃ、本末転倒だと思う。


 そもそも、大学の数(量)は、この大学の問題ですらない。
 量を否定したところで、質が上がるわけではない。
 この大学を排除したところで、既存の大学の質が上がるわけでもない。


 二者択一による思考停止に以外の何物でもない。


【大学の質の低下】
 大学の質が低下していると言う話はよく聞く。
 学力がある学生は、学力があるけど。
 下位の学生の質が、大幅に低下しているような気がする。
 下手をすると進学高校の新入生よりも、低い可能性がある。
(私自身はここまで低い人にはあったことはないけど。中学生並の英語の学力の人がガンガン大学に入っているらしい。そのため、補習が必要になる)


 ゆとり教育×進学率向上 が原因なのだろうけど。


 そのため、大学卒業者の質も大幅に低下して、大卒と言えども、低学力という人が大量に存在している。
(経済学卒・経営学出身のの人なのに、私よりも経済・経営の知識がない人が当たり前のごとく存在するのには唖然とする)
 その結果、大卒というブランド?信用?は、大きく低下した。


 十数年前から、学歴よりも学校歴が重要な時代になっているのですが。とどめを刺したと言って良いのではないでしょうか。


【大学の教育機能の低下】
 私は文系の大学院と理系の大学学院を出たのですが。その際に、文系の大学に関して思ったのが、勉強量が少ない。特に3・4年生の勉強量は驚異的に少ない。
 理系は意味なく大学に居ることも多いのですが・・
 文系は就職活動にあまりにも時間を取られている。
 90年代も、文系の勉強時間は短かったけど、近頃は酷いと言っても良い。


【大学の必要性と役割の変化】
 とは言っても、知識・技能習得機関としての大学の地位が落ちたわけではない。
 むしろ、知識・技能創造機関としての大学の地位は増している。
 地域振興を担う組織として、大学の存在はますます重くなっている。
 また、生涯学習など、若い人のみを対象にした時代でもない。


 単純に、入り口を狭くして、バカを入れないで済む話ではない。


「事前規制ということではない。イノベーション、改革だ」と説明しているが、結局のところ、古い価値観による視野の狭さを感じてしまう判断だと感じてしまう。


 「量より質」という言葉は、聞こえがいいですが。
 潜在的に、量か、質かというのを問う訳ですが。
 本当に、量か質かの二者択一問題なのかというのを考えないといけない。


【文部省による大学の許認可】
 そもそも、なぜ文部省の許可が必要なのだろうか?
 質が低下しようが何しようが、それは大学と生徒の間の問題のようなきがするのだけど…


 文部省を通じて、税金を投入している以上は、質に対してある程度ないと困る。
 一部私学は、私学助成金を貰っているので、対象になるのは当然だと思う。


 じゃあ、税金を投入していない場合は、どうかというと・・・それでも、文部省の許認可の対象になってしまう。


 権限を持つから、責任を負う羽目になる。
 責任を負う以上は、権限を持たないとやってられない。


 卵が先か、ニワトリが先かの世界だけど、
 許認可制度の根本を考え直した方が良いのではないだろうか?