日本の労働生産性が低い原因のは、労働時間が長いためかもしれない

 よく日本人の労働生産性が低いと言われますが、原因は何でしょうか?


 原因は沢山あると思いますが、考えてみました。


◆思考実験
 とりあえず、思考実験。


 ケース1
 例えばの話。
 日本全体の自動車販売員の人数を変えずに労働時間を倍にした場合(早い話がマンパワーの投入量を2倍にするわけです)、自動車は何%売上が伸びるでしょうか?


 マンパワーを2倍にしたので、2倍でしょうか? 50%アップでしょうか?


 証拠はないのですが、5%もアップしないのではと思っています。
 理由は購入者の購買力・購買意欲が増加しないためです。
 要するに買わない人は買わないというだけです。


 売上が5%アップすれば一人当たりの生産性は、5%ぐらいはアップします(経費を無視しているので、かなりざっくりな考え方です)。
 その一方で、時間当たりの生産性は、200%マンパワーを投入しているのに、105%にしかならないので、52.5%と47%も低下します。


 ケース2
 逆に、日本全体の販売員のマンパワー投入を半分にした場合どうなるでしょうか?
 販売台数は半減するでしょうか?


 証拠はないのですが、20%もダウンしないのではと思っています。
 理由は購入者の購買力・購買意欲が減少しないためです。
 要するに買う人は買うという話です。


 売上が20%アップすれば一人当たりの生産性は、20%ぐらいはダウンします(経費を無視しているので、かなりざっくりな考え方です)。
 その一方で、時間当たりの生産性は、50%マンパワーを投入しているのに、80%にしかならないので、160%と60%も増加します。


◆日本社会は、どっちの社会か?
 個人的には、ケース1型の社会のような気がします。

 対して、ヨーロッパはケース2型の社会ですね。


◆ヨーロッパは便利じゃないので、サービス業の生産性が高くなる。
 ヨーロッパ行くと判りますが、あまり便利じゃありません。
 夜になるとしまっている店も多いです。
 日本の地方もそんな感じですが・・・
 労働力の投入量が少ないような感じです。
 需要が変わらないのに、供給量が制限されれば、当然時間当たりの生産性は良くなります。

 正直、ヨーロッパのサービスは、良いところは高いです。


 安い庶民向けに、便利さや細かいサービスを期待できません。



◆労働時間が少なく、休み時間が多くなると労働生産性が上昇する。
 今の先進国の経済は、工業・農業中心ではなく、サービス業がGDPや従業員の大半を占める脱工業化社会です。
 そのため、サービス業を発展させないとGDPは増加しません。


 多くのサービス業の場合、サービスの生産と消費が同じタイミングであり、製造業のようにストックができず、まとめて生産や生産の標準化は容易ではありません。
 また、多くのサービス業は、時間消費の側面が大きいので、従業員が休んでいないとサービスそのものが消費されません。
 休みや時間がないと旅行する気にもなれませんし。
 仕事が20時に終わったら、仕事の後に遊ぶ気にもなれません。


 長時間労働は、需要削減の側面があるんじゃないかと思っています。


 日本の観光地や帰省ラッシュを思い浮かべると判りやすいのですが。
 もう少し休みを分散させろよとか思いませんか?
 日本はみんなで一斉に休むため、サービス業は、ある時は忙しくて、ある時はガラガラということがよく起きます。


 サービス業の生産を標準化するため、労働時間そのものを少なくし、休みを分散させるのが一番だと思います。

 
 日本の労働生産性が低いのは、現在の日本社会が労働時間=生産量の工業時代の発想から抜け出せないのが原因の一つかなと思っています。
 90年台後半からの日本の構造改革は、正直言って、賃金低下を引き起こし、サービス残業を激増させたわけですから、生産性向上や需要創出とは、真逆の政策ですね。
 政策を起業視点・ミクロ視点でやるから社会的・マクロ的にはおかしくなるわけです。