オリンピックのエンブレム問題と日本の知財活用の問題点 ~正しいパクリへの対応

 今更の話ですが・・・
 オリンピックのロゴ問題と日本の知財活用の問題点についてのお話です。


 当初、大会組織委員会などは、法律上問題がないというスタンスで、後手後手に回りました。

 劇場は商標登録していませんし、そもそもパクリであることを証明することは非常に困難なので、そのようなスタンスを取ったのでしょう。

 しかし、佐野氏のバッグの問題が表面化して以上、流れが変わってしまいました。

パクリであることを証明することは非常に困難である一方、パクリでないことを証明することも非常に困難なわけです。


 その結果、法律上問題がなくても、イメージ上、ビジネス上で深刻な問題を発生させました。


 早い内に、手を打てば良かったのに、完全に後手後手に回り、ビジネス的に問題を発生させました。
(まだ軽症で済みましたが)

 ロゴはイメージビジネスですので、グレーになった時点で大問題なんですね。
 法律上、黒じゃないから問題ないと主張されても、消費者や一般の人は、白じゃないと嫌なんですよ。
 その辺を軽視しています。

 日本の知財管理での深刻な問題は、法律上の勝ち負け中心でビジネスのことを考えていないという点です。


 IBMドクター中松に対して、フロッピーディスク関連で特許利用料を払っていましたが、IBMドクター中松の特許を利用したと言うよりも、訴えられるの嫌だからグレイでもお金を払ったのが真相みたいです。

 グレイでも金を払って口封じというのは、十分ありなわけです。

 大会組織委員会や佐野氏は、劇場・デザイナーを真っ向から避難していましたが、金を払って逃げる手もあったのに自分自身で選択肢を塞いでしまいました。


【第一生命の失敗】

 他の失敗例としては、昔々ありました綾小路きみまろサラリーマン川柳盗用事件を上げたいと思います。


 当時人気絶頂だった綾小路きみまろが、第一生命のサラリーマン川柳を盗用した事件です。

 で、第一生命の対応は、盗用だと綾小路きみまろを訴えたわけです。
 綾小路きみまろは盗用を認め、第一生命が勝ったわけですが・・・・・

 綾小路きみまろは、盗用したことによりイメージが悪化しましたが、
 さて、これにより第一生命は、何を得たのでしょうか?

 ほとんど何も得していません。
 私なんぞは、せこいな第一生命と思ったくらいです。


 日本人の思考上の悪い癖として、相手を損させることに夢中になり、自分が何を得るかをあまり重視しない点です。

 または、相手を損させると自分が得すると深く考えずに思い込む点です。



 第一生命は、優位な立場を利用して
 綾小路きみまろとのコラボレーションを考えるべきでした。

 当時、綾小路きみまろのショーは、チケットが取れない程の大人気でしたので、
 第一生命の会員は、優先的に席を取れるようにする、第一生命会員限定のショーを行う。など
 販売促進や顧客つなぎとめに、いろいろ使えたはずなのですが・・・・


【上手くやった例 セレッソ大阪
 2012年頃、アイドリングのグッズのタオルの模様に、セレッソの大阪のエンブレムが盗用される事件がありました。

 それに対するセレッソの対応は・・・・コラボレーションです。

 セレッソ大阪のホームゲームの試合前に、スタジアム外の特設スペースでミニライブが行わせたんですね。

 おろらくノーギャラか格安でしょう。

 さらに、凄いのはアイドリングのメンバーの一人は、FC東京の応援番組をやっているのですが、そのメンバーはFC東京のユニフォームでのミニライブです。それを許す、セレッソは凄いですね。
 柔軟性があると言うか、頭が良いですね。


知財は優位にビジネスを行うための道具です】
 日本はどうしても勝ち負けにしてしまいが、本来、知財は優位にビジネスを行うための道具です。
 ところが、日本では知財管理者の点数稼ぎのための紛争が多いですね。